市販ヨットのインプレッション

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ラジコンヨットを選ぶ時、どれにするかは迷うところでしょう。
ここでは時折オークションで見かける過去の物も含めて紹介しています。






目次
・市販ヨットの概要
#ドラゴンフォース65
#ドラゴンフライト95
#シークイーン
#シーウインド
#フェアウインド
#シードルフィン770
#フォーチュン612
#シーブリーズ600
#ピナクル
#CR−914
#CR−610
#CR−12(ヘロン12)
#グレーシャス
#イノベーター
#ヤマハ、ラウンドザワールド
#ヤマハ、40EX
#ノースウインド36
#ノースウインド28
#海連
#ETNZ(エミレーツ・チーム・ニュージーランド)
#ビクトリアU
#マイクロマジック
#トゥルー・ブルー(KOKOMO1000)
#GR65
#レジェンド
#アフィニティー
・その他キット
・注意事項等






市販ヨットの概要

本当に大まかな所ですが、それぞれの艇の特徴はこんな感じです。本人所有(赤字)と、一部知人の艇ですが、初心者の目、入門者の立場でやってます。テクニックのある一部のベテランさん等とは意見が異なるかも知れません。また個人的感想なので色々違うかもしれませんから、もし手に入れてみて違っていたらごめんなさい!(笑)

各キットにはそれぞれ個性があり、良い所も悪い所もあります。見方・使い方にも寄るのでどの艇が良くてどの艇は悪いというのは一概には言えません。持ち味を楽しむと言うのもアリだと感じます。レースに出るなどして他の艇と比べなければ、差は判らないと思うので一人で楽しむならどれでもOKかも知れません。どの艇でも基本的には「走らない艇」では無い(はず)ですし、トイラジや中華製粗悪品等とは違って、ここでリストアップした艇はちゃんと調整すれば素晴らしく、或いはそれなりに走ります(或いは頑張れば走ると思います(^^;))。また同じ艇同士のレースなら同じハンデなので大丈夫です!風が強いなどの場合でも全滅しますから!(笑)
また、このコーナーは本HPの趣旨である「初めてヨットに入門される方」などを念頭にしています。確かに製作の難易度には差があり、また修正が必要なもの、癖があるキットもありますが、ご自分で工夫されたり工作が出来る方であれば、どんなキットでも大丈夫でしょう。ご安心下さい!
もしあなたに「人柱になる事をいとわない」「一からヨットの構造や帆走理論を勉強したり、どんな工作や改造もする」という覚悟が有れば別ですが、「良く走るヨットをすぐに手に入れたい」「無駄なお金は払いたくない」等の場合は評判の良いキット(残念ながら現在手に入る物は限られています)を手に入れるべきです。
他のラジコンカテゴリーでは仲間の模型と併走したり気軽にレースする事が殆ど出来ません。ヨットはこれが出来るので、走らないヨットや毎回ビリではガッカリするかもしれません。
何より走らないと・思うように操縦出来ないと、つまらないですからね。
(因みに良く走るヨットというのは「ラジコンヨット」の動画を検索すれば直ぐに解ります)

市販以外のその他のクラスについてはこちら。






ジョイスウェイ(Joyswayホビー(香港)有限公司)製

ドラゴンフォース65 201504Version  (Dragon Force65)


世界的に流行の兆しのあるRG65クラスというカテゴリーに沿って設計されたヨットで、国内でも少しずつ扱いが増えている様です。ジョイスウェイでは似たようなサイズのヨットがありますが65の名を冠する様に唯一レーシーな仕様がこのドラゴンフォース65です。
 関連情報については特設ページで
関連情報(インプレッションの続き等)についてはドラゴンファミリーの情報ページで

国内販売されているキットとしては間違いなく一番完成度が高いと言える艇ではないでしょうか。発売当初は幾つか問題点もあった(船台やメカトレーがべニア、バウバンパー直後にデッキアイ1がある、ラダーリンケージが右側だった頃。)ようですが改良され現在のバージョン(船台やメカトレーが樹脂、バウバンパー直後のアイが無くなった)になったようです。あるサイトではこのロットをバージョン4と呼んでいましたが、キットを見る限りではV4なる表記は無くクラスルールも年式で区別しているのでここでは2015年バージョンとしています。(説明書表紙に2015年式の記載があります)

RTR(レディー・トゥ・ラン:完全完成品ですぐ走る)としては京商の各艇のレディーセットの方が簡単に完成(走航可能状態)に至るためその意味での完成度は高いです。一方、ドラゴンフォース65は完成までに多少の時間がかかりますから正確にはARTR(オールモースト:殆ど完成)かもしれませんが、付属パーツの質が高かったり、レースレベルの走りに必要とされる改造箇所や追加部品が標準装備だったりするため、キットだけでレースレベルの完成度となり、他のRTR製品に差をつけています。(後に解った事ですがRTRはレディートゥレース:即レース出来るだそうです)

完成までに必要なのは結んだ糸を切るためのハサミ(結び目が解けるのを防止するために塗る瞬間接着剤があればなお良いです)だけです。
送信機と受信機用にそれぞれ4本の単3電池があればキットのままでレースに出られます。
また、この状態でベテランの要求に耐えるだけの調整要素やセッティングに必要な強度等の要件を満たしていますから、ヨットの事が何もわからなくてもベテランのいる所へ持ち込めば1〜2分で最高レベルのセッティングが終了します。
「今日は仕方ないので次回までにこことここを直してきてください」とならないのは強みですね。購入したままの無改造、本当の意味のワンデザインレースが出来る可能性がある艇です。

組立の作業時間は1時間で終わるという触れ込みですが、私の場合は1時間半程度でした。経験者の場合、標準的にはその程度から2時間位ではないかと思います。全く初めてで構造の意味がわからない等の場合は数日かかる人も居るそうですが、説明書を正しく理解する事が必要です。
組み立て時間の大半は糸をバウジー(スライド式の糸の長さ調節パーツ)に通したり、指定の場所に通して結ぶ作業です。
結ぶ糸は全体で10本程度ですが、単に結びつけるだけの箇所もあればパーツやバウジーの穴を通す場所もあります。例えばバウジーを使う場合にはバウジー1個に付き、バウジーの穴に糸を通して結び付け、他の場所の穴を通して戻ってきて、バウジーの別の穴2か所に糸を順に通して更にその先をどこかに結ぶという作業になるため、裁縫で使う糸通し(針孔に糸を通す道具)があると便利で作業効率が増します。100均で4個入り100円で売ってます。100均ついでに刃がギザギザのハサミも買いましょう。ダイニーマ(糸)も良く切れます。

その他のパーツはすべて、組み上げてあるか、差し込むだけか、ねじ止めするだけで完成します。ネジを回すレンチも付属します。(といっても3種類1本づつ締めるだけですが)


キットとして良いと思う点

・ジブトッピングリフト、ジブブームバランサー、ブロック(滑車)、ベアリング入りメインブーム・グースネック、ラダーリンケージやスイッチに防水ブーツ、ノーズバンパー、セールコントロールシート展開用ゴムひも、ターンバックル式ブームバングと必要な物が最初から付いているため別途購入や改造の必要が無い。

・マスト、ブームがカーボン。キールがアルミ中空押し出し成型で強度も十分、翼型もまともでクオリティーが高い。

・マストが自立するため使いやすいスルーデッキなのにレーキの調整も出来る。

・セール生地もポリエステルスピンネーカークロス、補強も適切で良い。(というか普通なのがありがたい)

・シュラウドレス・リグのためメンテナンスやリグ交換が容易で調整箇所も少ない(セッティングの再現性に優れる)。バックステー等の固定側もフック式でリグ交換は瞬時に終わる。
組立・分解は、付属六角レンチでキールとラダーを取り付ける。ジブピボット(スイベル)、バックステー、ジブ及びメインシートの合計4本のシート(糸)をフックに引っ掛ける。これで終わり。バウジーを動かす必要すらないので分解・組み立てを行っても完全にセッッテイングが維持できます。

・レース用に設定されているため装飾艤装が無く実用的。シートが引っかからない様、スムーズに正しく動作する様などレイアウトも熟慮されている。

・シート類の調整も上位クラス艇の様な方式で、ブームに通したシリコンチューブの移動で行えるため手軽。


ちょっと残念な点
(個人的な意見です)

・防水ハッチがパッチ方式な事
例えば1艇40万円もするRMクラスのレース艇では粘着剤付のパッチで開口部を塞ぐのが普通で、最も軽量で最も確実な防水構造となりますが、このパッチは使用過程で粘着力が落ちるため使い捨てです。レース用のデザインとは言え、なにもそこまで最高級クラスの真似をしなくてもと思いますが、いかがな物でしょうか?私はケチなのでプラ板を切ってマスキングテープで張り付ける事にしました。

・セールのデザインが龍な事
主張の強い龍の絵自体には文句を言うつもりは無いですが、同じ図柄がたくさん走ると見分けがつかなくなります。ナンバーを入れるにしてもスペースは限られるし、着色等で個性を出すのも自由度が少なくなりますね。セールカーブに影響の出にくい配置なのが救いです。

・送信機にフックバンドが付けられない
水ポチャするといやなので送信機はフックバンドで首から吊っておきたいのですがその用意がありません。これは追加加工するしかありません。(携帯ケースみたいにストラップを付ける穴はあります)

・調整の説明が貧弱
説明書は英文ながら写真入りで組み立て自体は作業も簡単なため問題無いと思います。キットの改良点も更新されています。しかし調整方法の説明は残念な所があります。例えば13ページのセールを引き込んだ時ののブームの角度がなんでこうなっちゃうんでしょうね?マストから30から35mmじゃなかったの?(笑)せっかく調整箇所が殆ど無いのですからポイントは抑えて欲しい所ですね。
取り説 ただしこれは旧バージョンの物なので現行の取説とは異なる部分があります。

蛇足
走航会では少数派のフォーチュンがじつは桁外れな生産台数になっているというのはディスプレー用に購入される場合が多いためだそうです。ドラゴンフォースは装飾艤装が無い、無駄を排したレースデザイン(ここまでは機能美と取れる)に龍の絵がとどめを刺して、飾っておこうと思う人は少ないかもしれませんね。組んだまま置いておけるクラスですがインテリアとしてはどうなんでしょうね?我が家の場合はフォーチュンが飾られている場所をとってかわる事は無いでしょう。(笑)


艇の性格
素直の一言。ブローに振られて大きくヒールした時でも挙動変化がおとなしい。また、ラダーの面積、平面型、断面が無難な設定のためか、とても良く効くので扱いやすい。これは初心者にはありがたいです。

セールサーボはドラム式なのでアーム式に比べれば巻き取りに時間がかかりますからクイックな動作はできないです。
安そうなRCメカですが動作に問題は無くニュートラル等も普通です。
キールが長いため抵抗となりCR610やフォーチュンに比べると下り(ダウンウインドレグ)が遅い。逆に風のある時の上り(アップウインドレグ)は効率が生かせるので速くて角度も出る。まあ、あくまでCR610等との比較で、別なキットと比較すること自体がナンセンスですからあくまでも参考程度に。
まあ想像通りの走りで特に欠点も見当たりませんでした。

一般的に各メーカーの独自規格となりがちな他のミニヨットと異なり、RG65という大きな規格の中なら参考になる艇も多いでしょうから商品企画段階からノウハウもたくさん得られ、完成度やバランスが高くなるという事なんではないでしょうか。
(2015.10.28)


なんどか走らせる機会がありました。
かなり波をかぶる状況で使っても全く水が入らないみたいです。付着した水垢を落とそうと水道でジャブジャブ洗いましたがそれでも大丈夫。これは素晴らしい。
充電式の電池にして、コネクター等の引出か充電用の端子を出しておくなどすればデッキパッチを剥がす必要がなさそうです。
毎回パッチを剥がすと粘着力が落ちるので頻繁な交換を心配していましたが杞憂だったかもしれません。実際、私の艇は最初に乗せた電池がまだ使えるので、一度も交換しておらず、例のプラ板製のふたは開けたことがありません。
これだけ完全防水だと海で使っても大丈夫ですね。
勿論、内部の湿気を乾燥させる手段も欲しいので、ゴアテックスみたいなパッチがあれば理想ですが、マスト横の小さな穴だけパッチというかテープ貼り直し方式にして充電コネクタの引出しを兼ねようかと思っています。

強風での差は下りレグでのバウチンし難さでも顕著でした。実艇をイメージするデザインの艇ではバウの浮力が不足する事になりがちですが、スケール艇的なカッコよさを無視して戦う模型にしてしまっているので他艇がバウチンする状況では大差になりました。当たり前ではあるのですが。
こりゃあ従来のミニクラスとの混走では差が付いちゃいますね(笑)
勿論ベテランならバウチンさせない様に乗り切るテクニックもあるでしょうけれど入門者には無難な選択ですね。

プロポのニュートラルは悪くないのですがデジタルトリムのステップが少し荒いと感じました。精密にトリム合わせするには例えば1コマの半分調整したいという様な事ですが、まあ使えないほど悪い訳ではないのでそのまま使っています。サーボホーン、ラダーホーンの穴位置を移動すれば改善されると思いますが、せっかく舵の切れが良いのをスポイルするので当分は出荷状態で使ってみます。

噂によると、この艇の設計はイギリスのベテランモデラーだとか。設計が良くても製品化の過程で妥協したり欠点を作ってしまう事があると思いますが、この製品では良く分かっている人が作っている(ちゃんと監修している)と改めて感じました。
(2015.11.12追記)


 この続きや関連情報についてはドラゴンファミリーの情報ページで

一旦終結しましたがバージョン5が発売されるので追記します。
発売以来12000セットが売れたというDF65ですが2016年バージョンは更に改良されたようです。説明書表紙に201504Versionの記載があるロットをバージョン4と呼んでいる事があると以前書きましたが、バージョン5が発売される様でホビーウエアハウスの説明が変わっています。今後入荷するのはこのV5になる様です。
セールリング、バウジー等の変更、ブームバング(コンプレッションストラット)のねじピッチ変更等で、更に作りやすく、微調整をしやすく、トラブルを起こしにくくしています。細かな変更であり性能は変わりませんが、後発のDF95で採用された方式を取り込んだりと、より良く改善する姿勢は評価できますね。
(2016.03.22追記)


 この続きや関連情報についてはドラゴンファミリーの情報ページで


ドラゴンフォース65 ホワイトバージョン (Dragon Force65)
5月29日、ホビーウエアハウス限定発売の特別色バージョンが発表されました。サンプルが送られてきましたがとてもきれいな塗りです。詳細はドラゴンファミリーの情報ページを参照してください。

情報修正します。ドラゴンの場合、RTRはレディートゥランではなく、レディートゥレースの意味でした。買ってすぐ走るではなく、買ってすぐレースできるという意味でキットの内容を良くあらわした表現ですね。
(2016.06.16追記)

ドラゴンフォース65 バージョン6 (Dragon Force65-V6)
2月4日、V6の発表があり、姉妹艇であるドラゴンフライト95そっくりのヨットに進化していることがわかりました。ワンデザインレース用に船型やキール・バルブなどは同じに、また各部の互換性も維持したまま、キットとして品質等が格段に向上しました。セールが本格的レース艇の標準であるマイラー製になりました。またデッキ周りのデザイン等も一新され、ドラゴンフライト95のミニチュアの様です。ラダーサーボがデジタル化し、配置とリンケージ、サーボトレー、軸受けも変更され高精度化しました。
組立説明書もより詳細になった様です。DF95レベルのはずなので入門者でも組立に迷うことは無いでしょう。ほかのキットには説明されていない組立完成後の調整方法まで説明されているはずです。
後発だったdf95のノウハウがすべてフィードバックされている感じです。期待できますね。

また、今回からキット標準のAセールより面積の大きな「A+」セールがオプションに追加されました。DFは高速仕様のため微風では他の艇に苦戦する場面もありましたが、「A+」セールはその様な場合には強い味方ですね。

発売が楽しみです。
(2017.02.05追記)

V6の取扱説明書が公開されました。予想通りよく出来ています。組立説明も、調整方法も完璧だと思います。
今までの市販ヨットは組立説明書はあるものの、調整の説明がないためユーザーは試行錯誤を強いられました。また調整箇所も多いため走るヨットにならずに断念した人も多かったのです。それがDF95同様に解決されていますから、DF65旧バージョンを入手された方もこの説明書は要チェックですね。
(詳細はドラゴンファミリーの情報ページを参照してください。)
(2017.02.07追記)
発売開始されました。(詳細はドラゴンファミリーの情報ページを参照してください。)
(2017.02.23)

ドラゴンフォース65 バージョン7 (Dragon Force65-V7)
2022年からDF65バージョン7が発売されました。V6からの変更点は新しいセールサーボが採用されることとスタンドにレイダウンキットが組み込まれたことで、その他の変更はありません。詳細はFAQのページを参照してください。
V6までのセールサーボにはエンドポイントの挙動にバラつきがあるものが含まれていました。要は当たりハズレが有ったわけです。当方の手持ち(艇に載ってるもの、乗ってたもの、予備を含めると10個程)でも何の問題も無いものもあれば、例えば、エンドポイント直前まで行ってユルユルと定位置までにじり寄る物、エンドポイントまで行って逆にセールを開こうとすると少しの間反応せずその後ガクッと開いて(ブーム先端で5mm程度)そのあとは普通に動くものがありました。その都度違った動きをされてはかないませんが、まあ癖だと思って使っているうちに慣れてしまって問題とは思ってませんでした。(笑) 当たりハズレは無くなるのでその分は安心です。また、DF95と兼用できるので両方の艇を持っている人はそれぞれの予備を持たなくても済む様になります。電圧の範囲が変わり、今まで自己責任だったリフェバッテリーに正式対応できるようになりました。一方、このことにより電圧の低いバッテリーでは動作しない可能性があります。また重くなります。 DFはディスプレースタンドに乗せたままだと風で倒れてハルが割れ、浸水するようになります。レイダウンキットはスタンドを横置きにして寝かせておくためのアダプターです。 個人的にはスタンダードサーボで不満がないので重くする必要が無い事と、スタンドにビニールチューブをかぶせて横置き対応しているのでスルーですが。(^^;) (2021.12.04)
(2022.3.10追記)


ドラゴンフライト95 Dragon Flite 95

ドラゴンファミリーというかドラゴンフォース65の姉貴分で、DF65に対してDF95。つまり950mmのRTR艇です。
サイズの関係でどこの規格にも入りません(北米のUS1mクラスは可能かもしれませんが私は詳しくありません)が、DF65の実績からすればワンデザインで勢力を伸ばす事になるでしょう。
まだ正確な発売時期も判りません(イギリスでは3月頃らしいですが)が、取扱説明書は完成したらしく公開されました。基本的にはDF65と似たような構成やパーツ、完成度みたいです。勿論現物を手にしないと判りませんが、説明書で見てとれる進化(と推測(笑))は....

・キールがカーボンです。バルブの取付けパーツ(方法)もバントック(SAILSetc艇数十万円クラス)と同じ方式です。
  カーボンルックやカーボン粉入り樹脂などでなくカーボンクロスです。当然NCで金型ほって焼いて固めるはずなのでこれ以上ない翼型精度、軽さ、剛性と構造のはずです。
・リグがフラクショナルリグからマストヘッドリグに変わったのでステーテンションが上げられます。
・ジブステーがワイヤーになって高いテンションに対応しています。
・セールがフィルム製で高品質化しました。龍の柄も無くなったのでセールナンバーも大きく、国籍マークも入れられます。
・マストクレーンがカーボンで軽量高剛性です。マスト・ブームも勿論カーボンですがマストは繋ぎ無しの1本ものに。ブームは折れ目が付いたので2本に(といっても完成していますが)。
・バウジーがバントックと同じ様なタイプになり調整しやすく、ずれ難くなりました。
・セールリング形状が改善されたのでセール位置精度が向上。また回ってしまわず、トッピングリフトを引っ掛けなくなりました。
・デッキパッチの他にハッチが追加され、テープ止めも可能になりました。
・説明書にジブスイベル、バックステー、ウインチコードなどの長さについて具体的な数値が入ってきたため、より判りやすくなりました。
・DF65で写真が不鮮明なため判りにくかった部分がイラストになり改善されました。
・ブームの開度の図も直っており、どの様に調整するか判りやすくなりました。
・ツイストとスロットの標準設定についての説明が具体的に写真で出ています。
  過去、市販キットでツイスト等の説明が記載されている艇は無かったと思います。
・ハルがより細く、バウが更に長い。強風で速いDF65の流れを更に加速させています。また更に多くの前部浮力が確保されました。
・ジブセールにもフットローチが付き、メインのローチも大きくなったのに合わせ、ブーム形状がセールに合わせて変わりました。DF95もワンデザインルールが出来ると思うのでそれ次第な所ですが、フリーでブーム先端が水を掬わなくなります。
・全備重量が2kg。シーウインドが3kgなので別次元の軽さ。問答無用、別世界のキットです。

今後国内でどこが扱ってくれるかなども現在の所判りません。ラジコン1はジョイスウェイの代理店では無いそうです。なのでDF65のパーツも在庫しないわけです。市販キットでは有名なマルサンホビーにも聞いてみましたが、扱う気も代理店になる気も無いそうです。(これらは昨年末の話です)
当面は外国から買うしか無いかもしれません。
イギリスでは昨年から予約を受けて居ましたが想定数を超えたのか予約受付は無くなりました。オーストラリアでもまだ購入はできませんが価格は表示されており送受信機レスなら4万円ほど。内容を考えればとんでもない激安です。
私は、(DF65の初期は幾つかトラブルがあったらしいので当面は静観のつもり....だったのですが)....たぶん....買うでしょう。半ば義務化してます。(笑)
(2016.01.23)

オーストラリアは最近の円高にもかかわらず42000円の値段表示になりました。もしかして強気の値上げでしょうか?
お友達のP氏情報では、イギリスでは初入荷の300艇が即時完売したそうです。事前予約も早々に締め切っていましたしね。DF65の時もイギリスだけで最初の5か月に1500艇売れたらしいですが、それ位か 上回るかもしれませんね。イギリスのメインディーラー以外では3月上旬の入荷みたいな事になっていますが、どうなるのか楽しみです。もう予約入れてお金払っちゃいました。(笑)
(2016.02.21)

到着しました。開封しました。まあ思っていた通りでしたが(笑)事前に読み切れなかった部分、現物を見て分かった事は
キールが硬い。コード70mm、翼厚7.14%ですがとても硬く、捻れ剛性もすばらしい。翼型もきれいです。バリ等も無く完全に仕上がっています。
ハルの塗りがきれいです。そして軽い。ハルの内側に何かマジックで数字が書いてありますが、光にかざすとそれが透けて外側から見えます。全速力で側面衝突されるのはちょっと嫌ですね。 最新デザインのマーブルヘッドクラス艇を小さくした様な船型です。ちょっとだけ寸を詰めて36にしようとする人が必ず出るでしょうね。(笑)
バルブは噂通り、後方が扁平なデザインでヒールした時に水を掴んでくれそうです。
地味な部分ですが、マストケースにレーキの設定を示すメモリが刻印されているので調整の目安に出来てありがたい。
セールのクリュー(後ろ角)がグレーシャスの様なフック式になっていました。
フィルムセールは癖がつかない用にフラットにパッキングされていますが、すぐに扱い傷や折れ目がついてしまうでしょう。きれいなカーブが出ますが扱いには気を使います。
唯一あてが外れたのは、ジブトッピングリフトの一部が取説の図と違って未完成でした。(パーツは入っていてコードのみ取り付け済み、DF65と同様という事です)
組み立てはDF65同様、1時間半から2時間でしょう。私は少し丁寧に作った(と言っても例によってシートを穴に通して結び続けただけ)ので2時間かかりました。シート(コード)がバントックで売っているタイプのダイニーマみたいな材質になっており太くてしなやかですが末端がほぐれやすいので各所の穴を通すには糸通しが必須です。
(2016.03.11)
(2016.03.13追記)

同じメーカー、同じ開発チーム、同じコンセプトの製品なので、良い所や悪いところも殆どDF65と同じですから、上記同様に違う部分のみのコメントを付け加えます。
走りもDF65の延長とイメージしてもらえれば良いでしょう。素直で悪い癖は見当たりません。
これも判っていたことですが、微風では遅いです。船型が高速向きのDF65同様で、濡れ面積が大きいためでしょうね。敢えて書いたのは、もっと高速へ振ったのでしょうか、セール面積が大きいにも関わらずショートキールのDF65と同じぐらいの速度しか出ません。(笑)
一方、風がある時の速度は素晴らしく、伸びのある良い加速をします。クラスルールではリグ・セールは標準のAとBCDの4種類が設定されていますが、強風や暴風での走りが見てみたいです。
キールの翼弦が広くてレイノルズ数等効率が良いためでしょう、しっかりグリップしている感じがして横流れしません。舵はよく効きますが、DF65より更にハルが長いため急旋回時の減速は大きいです。水に浮かべたボールはクルクル回るが竹竿は回せない理論。
ウインチサーボは速く強くなったみたいでセールの出し入れも十分な操作感です。

慣れだと思いますが、蹴飛ばしても壊れない丈夫さで性格も優等生の妹に比べると、お姉ちゃんは少し華奢で個性的。
タッキングでの減速やイナーシャが無いための減速しやすさとその後の加速。微風のもっさり感と順風時の圧倒的な速さという具合に速度範囲が広く印象が異なるからかもしれません。
同サイズの従来市販艇と比べると700gから1kgも軽いのですから当然ではあるのですが、重くてイナーシャのあるシャーシーにトルクのあるディーゼルエンジンが乗っているのが今までの艇なら、軽い車体に低速スカスカのどっかんターボエンジンで上は伸びるよみたいな感じでしょうか。

メインセールのタック(前下角)を引くコードの経路が変更され、バウジー(アジャスター)がターンバックルの上に位置して邪魔です。DF65みたいな経路に直しちゃっても性能向上しないので許してもらえると思うのですが。

私のところは2艇、二子玉6艇到着したのでその範囲ですが、その中の1艇でウインチサーボのトラブルがあったそうです。2セルLi-Feバッテリーを直接繋いだら壊れたそうで、クレーム交換対応になったそうです。私のもLi-Feですが特に問題無いので、ウインチ個体の初期不良かもしれません。

DF Racing World Information SiteDFファミリーの総合情報サイトです。65、95がまとめられ、今後の情報発信源となります。
(2016.03.13)

風のある時に走らせました。
速い!その一言に尽きます。実はタッキング等の減速が大きい事による錯覚もありますが(笑)、そこからの蹴飛ばされた様な加速感が気持ちいいです。キールがしっかり水を捉えるので減速後の立ち上がりでもたつく事が少ないとか、軽いので加速が早いとか、全てがこの方向に振ってありますからね。
軽くイナーシャが無いため速度が出るとますます運動性能が高くなりかなり機敏に反応するようになります。やはり少しじゃじゃ馬な面(艇は癖も無くとても安定しているのですが操舵が荒くなってしまうため)が見えてきますから、デュアルレートかエキスポネンシャルが欲しくなります。
ハルが速いためか下りレグで角度を持たせた方が良い走りをするようです。少し戦術が変わるかもしれませんね。
艇の性能、性格等については特段問題がありませんでした。当然ですが水も1滴も入らず....などなど。
唯一、私の場合リングの一つが外れでしたが。(笑)詳細は情報ページで。
(2016.03.18)


ドラゴンフライト95 バージョン2 Dragon Flite 95 V2
2022年からDF95バージョン2が発売されました。現行からの変更点は新しいセールサーボが採用されることとスタンドにレイダウンキットが組み込まれたことで、その他の変更はありません。詳細は前述のドラゴンフォース65バージョン7の項とFAQのページを参照してください。
DF95の場合、セールサーボをノーマルから新型にしても重量増加は極わずかなのでデメリットになりません。リフェ正式採用等のメリットに金額が見合うのであれば買いでしょう。
(2021.12.04)
(2022.3.10追記)



アンダーソン製

シークイーン(準備中)
アンダーソンジャパンから発売予定のRTS(レディートゥーセール)艇です。(当初エアーサプライ扱いの予定でした)ハル全体の形状はグレーシャスに似ていますがバウが2段式の最近のAC(アメリカズカップ)艇の様な形になっています。水線長が減るので直進中の抵抗は増えるのですが、旋回性能は良くなるのだそうです。(AC艇の場合はルールの関係もあってああいうデザインになるそうです)セールもグレーシャスのオプションで発売されていた微風用セールやAC艇の様な形で日本の36規格ではありません。36規格の本家であるアメリカの規格のようです。もちろんワンデザインなら問題ないですが。
簡単な組立と電池を入れるだけで走らせられる完全完成で、メカ搭載やリンケージはもちろん、シート等の結び目も瞬間で解けないように処理してあるという念の入れよう。性能的に重要なキール・ラダーの成形品質は抜群で、現在、市販キットの中では最高クラスの出来。綺麗な翼型が再現されています。一方、残念ながら搭載済みのセールサーボがトルク3kgのノーマルサーボ。艤装プラパーツも弱そう(ただし今の所、強風などでも壊れた実績はありません)。公園の池などは風が弱いので、ちょっと遊ぶだけならそのままでも使えない事はないでしょう。メカはオマケと割り切りましょう。(笑)メインブームはプラスチック成形ですがH型断面でかなり丈夫です。しかしジブブームはまるで強度が無く風が強いと使えません。実艇スピンポール風でカッコは良いんですが。
セールを規格に合わせて切り取り、セールサーボを換装すれば市販36クラスとして使えそうな艇ですが、セール自体の素材が悪い(ナイロンのため湿度で伸び縮みやカールする)ので、競技に使うならいずれにせよセールは自作、リギングもやり直しする事になるでしょう。キールの強度が多少ヤワ(撓むだけで捻れは少ないため問題は無い)で反応がマイルド、ヘルムもウエザーが出しにくいのでベテラン好みではありませんが、画に描いたようなニュートラルな特性や効きの良いラダーで入門者には扱い易いキャラクターです。

※ワンダーランド(通販店)の取り扱いは消えていました。
追加情報:06年2月号のラジ技に小林さんの紹介記事が掲載されています。
ついでに、彩湖のHPに何枚か写真があります。(06.01.09追記)
追加情報2:彩湖のHPに1月22日(06年)の写真が追加されています。オリジナルなのが小林さんの艇、No.50はフィルム製自作セールと木製ジブブーム(角材黒マジックインキ仕上げ)に交換したものです。(06.01.26追記)
ちなみに彩湖の動画に出てくるNo.50はレンタルしていた時のもので、説明とは別のスキッパー(中学生)が繰船しているものです。相手が超ベテランですから、レースの組み立てはさておくとして、弱風の速度自体は見劣りしないですね。
セールとジブブームだけ取り替えればグレーシャス並に優秀な艇、微風の下りでもイノベーターに負けないし、マストも強い。癖が無く扱いやすくて入門者には一押しの艇なのに、なんで発売されないんでしょうかね?不思議です。
追加情報3:ドイツではSEA-CRETと呼ばれているみたいです。色々な名前で出ているんですね。写真でみるとこのバージョンはRTSではなく、組み立てキットみたい。S字フックもゴツくて違うかも。風圧でジブの後縁が開いちゃっているシーンもあります。やっぱりジブブームとセールは直したくなっちゃうのね。(笑)(08.06.25追記)

シークイーンV2が登場!  って、ノーマルサーボを連結してセールを引こうと言う試みらしいです。このサーボによほどのこだわりがあるんでしょうねえ。(笑)ココモ1000は互換がありそうなのでセールは使えるかも。相変わらずのヘロヘロ素材かもしれませんが....。情報は台湾のお話。アンダーソンモデルからでした。●(091020)


京商製

シーウインド
 〃  スペシャルエディション
(生産終了)
 〃  カーボンハルバージョン
 〃   レディセット KT21付
実艇デザイナー高井さんの設計だそうです(ただし模型では実績が無いみたいです(^^ゞ)。キットの出来はとても良いのでメカがセットになっているフルセット版を買えば初めての人でもプラモ並に素直に組み上がります。セール生地そのものは良いのですが、時々縫製の悪い物が有る様で、メインセールの前縁の部分的なシワが消しにくい場合等があります。ラフ(前縁)カーブの曲率急変や蛇行(←論外)で、あまりにひどい場合はセールのみ買い直した方が良いです。ダメなセールは上部を切って強風用に使いましょう。もっともグルーブ式というスケール感重視のセール固定のため、理想的な翼型は望めずある程度妥協も必要です。(笑)
市販艇では一番大きいクラスなので微風からかなりの風まで良く走ります。風や波にも強いですがラダーが小さめで過激なデザインのためかノーマルセッティングでは風速5.5m以上になると方向転換が難しくなってきます。最終的にはタックもジャイブ(正確にはベア)も出来なくなります。(ヤマハのラダーを付けるとピッタリで、方向転換も楽になるとの情報有り。ただし京商の大会などでは違反です!(笑))実艇では船の上で微妙な調整ができたり、強風時は小さなセールに変えるので問題ないのでしょうね。一方、ベテランの評価にもあるとおり、他の艇に比べると微風では横流れが目立つ傾向があります。(小面積キールの翼型がまた過激....)順風の範囲ではとても素直で扱いやすい艇です。最初のうちは必ず穏やかな風の時に走らせましょう。他の艇と比べてみても引き波や渦が少なく良い艇型だという事が判ります。強風、微風では典型的な癖(欠点)が出ますが、嫌みではなく教科書通りな特性です。良い悪いや限界が判りやすく、勉強させてくれるのですからヨットの特性や操縦を学ぶには良い素材と言えます。新艇の時は良いですが、保管中にハッチを外しておかないとスポンジがヘタって浸水するようになります。シリコン等の撥水剤を併用しても良いでしょう。これで取り説に”正しく詳しい”セッティングの項目があれば初心者用には最適なんですが....。(笑)

過去にスペシャルエディションと言ってFRP製のハルが発売されていました。ノーマルのABS製に比べると200gも軽いそうですが、そのままでは船体が浮き上がってしまうだけでメリットがないのだそうです。200g分バラストを増やせば良いのでしょうけれど、それだとルール違反です。(笑)おまけにこのハルは中国製のためかピンホールがあって浸水する物もあったそうでクレームが多かったそうです。塗装やパテ埋めがひつようですね。

06年末にカーボンハルのバージョンも出ました。これ見よがしなクロス目が良いですね。(笑)FRP同様、軽さはあまり生きないそうですが、エポキシ接着剤を使用しなければいけないキール受けの接着が省略出来るのは助かります。国内産ハルの出来は軽量で良いのですが、デッキとのつなぎ目にピンホールがある個体も。また接着がギリギリだったのか気がついたら口が開いていたりして。無駄な樹脂を使っていないとも言えますが、水面より上とはいえずっとヒール等を続けているとまずいですね。キット購入時や側面衝突時にはチェックしましょう。デッキ面はFRP製(グラス+ポリエステル)ですがこれも極薄なので内部補強するかマストステップをキールパイプ直前まで後退させないと変形して凹んでしまいます。

シーウインド(ABS版)のロットが変わったそうです。最近購入した方のお話ではハルが軽量化されているとの事。ブロー成型の技術的改善で薄肉部分が解消できたのでしょうか?結果的に全体の樹脂を減らせたのかもしれませんね。バラストも白く塗装済みで塩ビのカバーもなくなったそうです。キット購入の際には要確認です。
ちなみにデッキは陥没しやすくなったらしいです。(笑)軽いのですから許しましょう。カーボンバージョン同様の対策が必要ということですね。以前聞いた話では、デザイン段階ではキットの位置から10mm後方で設計されていたそうなので理想的にはバックさせるほうがいいですね。(そもそも微風用にマストを後傾させると、微風でブームが開かなくなるので本末転倒)
噂ではシーウインド用の強風用セールとディスプレー用のクルーのセットがオプションで発売予定との事。いいですねえ!
また、さる大御所のお話ではデザイナーの高井さんに何とかしろとプッシュしたそうで(笑)、カーボンマスト化も進んでいるのだそうです。本来のFクラスとしても通用する高性能艇になるかも!今まで足を引っ張っていたマストが改善されて、グレーシャスやイノベーターと対等に張り合えれば市販艇混走も面白いことになりますね。(081014追記)

暫く欠品が続きましたが、レディセット KT21付として再発売されました。塗装済み完成艇なので工作が苦手でも大丈夫ですね。定価50400円はかなりの金額ですが、 マルサン・ホビーなら35,280円みたいです。3万5千円でも安くはないですが、一度買えば10年は使えます(私の場合15年ほど使っていますがいまだに現役でマリンカップレベルなら優勝できます(笑))から、十分に元は取れると思います。2.4GHzプロポ付きなので走航会や大会参加でもバンド変更の手間が無くて便利です。写真を見るだけでははっきりしませんが、ちょっと残念なのはデッキ上の飾りパーツも取り付け済みであることでしょう。そのままではシートが引っ掛かってノーコンになる事間違いなし。(131101追記)


フェアウインド(生産終了)
 〃  U(生産終了)
 〃  900
販売期間が長いためか時折オークションでも見かける事があります。設計が古いのでメカの搭載などは各自工夫する必要があり多少の手間がかかりそうです。(船内が広いので自由度はあります)セールは見た目がフニャフニャでも風を受けるとそれなりになります。しっかりした生地のためでしょう。ただ、セールのドラフトは深め(キャンバーが強い)で調整幅は多くありません。クルーザータイプのデザイン(ディープキール?)なので順風以上では同クラス(京商のカテゴリー分け)のレーサータイプであるシードルフィンに負けます。が、微風では逆に強い艇です。セールも大きいですし、分厚く大きなキールのおかげで失速しにくいのだろうと思います。ラダーも大きく操縦性も安定も良い艇です。一方、強風ではヒールが強くなり、リーウエイ(横流れ)のお陰で殆ど走れなくなります。瞬間的な突風にも弱く、傾くだけで前進力に変換出来ません。キールが効かなくなるからですね。ウイングキールが欲しい!(笑)強風や強弱のある不安定な風は苦手ですから気持ち良く走らせるには弱風など順風以下を選びマッタリとセーリングしましょう。
京商大会で微風ならこれ!

フェアウインドVが発売されます。
重かったハルがFRP化で軽量になり、その分バラストを増やせること。またキールも30mm延長ということで、低重心化、キール効率向上で、今まで弱点だった強風でのヒールとリーウエー(横流れ)が少なくなりそうです。(個人的には低アスペクト対策でウイングキール化してほしかった。オプションで良いからボルトオンのウイング発売して〜!(まだ言ってる)(笑))
フォーチュン並みの完成度でお手軽感もアップ。アメリカスカップみたいなレーシングボートも良いですが、こういうクルーザーでレースするのも雰囲気が良くて楽しそうですね。フェンダー等細かなパーツもついている様だし、装飾系パーツも金具類らしくメッキになりオモチャっぽくなくていいです。カラーリングも落ち着いていて、大人が持っていても恥ずかしくない艇です!(笑)
昔、36インチクラスのレースが始まった頃はほかの艇が無かったためフェアウインドのワンメークだったらしいですが、フェアウインドのワンメークで伝説の再現となるかも。(080508追記)

シードルフィン770
RCヨットの神様と呼ばれる加藤さんの設計です。キットとしては良くできていますが、船首の部分が別パーツで接着・成形に多少の手間がかかります。その他の点では初心者でも組み立てに困難はありません。いろいろ細かい工夫がされていてとても良いのですが、プラスチック製ブームの強度が無く、補強しないと風が強い時に風圧に耐えられません。マストとセール生地も柔らかいので、セールをきれいな形に張るのが難しい気がします。生地もフニャフニャでシワシワです。ハッチ等はしっかりしているので、風や波のある時でも使えそうですが、強度の無いブーム等が足を引っ張って少々残念です。構造的にしっかりしていれば各部の調整機構も生きるんですが、微調整以前の問題が....。(笑)京商の大会では強風時にセールを丸めたり畳む事が許されています。このシードルフィンとオラクル・フォーチュン以外はグルーブ式の構造上その場で対応するのは難しいので、応急対応が容易なこの艇は有利です。グニャグニャセールはシワを気にせず縮帆出来ます。(笑)
京商大会で強風時はこれ!

最近のロットはセール生地が変わったのか良い感じみたいです。買い直そうかな?(笑)(07.12追記)

そう言えば最近のセール生地の件ですが....(笑)。
ちりめん状のシワシワは無くなりました。素材がフラットになり製造工程でのラフなどの補強材の張り込みもしやすくなったのか、初期のものよりはかなり良い感じです。しかし、セール生地自体は相変わらずの生地で(笑)、「シワがない分だけ伸びは少ない」みたいですが他艇の様なポリエステル系の剛性感はありません。水をかけると即座に伸縮変形するので、いわゆるナイロンなんでしょう。今度、シードルフィンも完成艇で発売されるそうですが、それを機会にブームやマストのジョイントなど黒いプラパーツの強度不足とセール素材が改善されると良いですね。(08.08追記)
モデルチェンジのためか現在HPでは商品リストから消えています。(08.08追記)
うーん、買い直したセール、日が当たるとセッティングが変わる....(笑)さすがナイロン、加藤さんの書いていたお話が実感出来ました。(08.09追記)
シードルフィン770Uが9月中旬に発売!!
らしいです。(笑)マルサン・ホビーのホームページに宣伝が出ています。
諸元が多少変わっていますがフォーチュンの流れから言ってバラストの脱鉛・材質変更(ZAMK製って書いてありますね、何でしょう?)関係の影響と推測!事実上変わりなし....かも。今度はフォーチュン同様ポリエチレンセールです。うーん....微妙です。(笑)いやいや、やはり見た目も大事ですよ。翼弦が大きい分、同じ素材なら硬さも少しは目立たない....かも。いずれにしてもラフ(前縁)やコーナー補強の伸縮率がセール本体と異なり変な癖が出るよりは数段良いですね。リーチ(後縁)の開き過ぎも防げるので上り角向上が期待出来る....かも。船台が折りたたみ式になったのはポイントが高いです。以前のものは組み立てたら邪魔で邪魔で。仮付けだったのですぐばらして2度と使いませんでした。FRPキールなので新たに型を起こしたはず。翼型がどうなったのかとっても気になります!(080912追記)

現物、見せていただきました。FRPキールもそこそこの出来で今までの成型不良っぽいABSから格段に進歩。後縁はダルですがちゃんと翼型しています。(笑)セールも艇がヒールするぐらいの風があれば綺麗なシェープです。ポリエチレンセールが硬いのとメインブームの強度不足が案外良いマッチングでした。風圧によるリーチ(後縁)の開き具合が適当な感じで、風があるときやブローでも適度に風を逃がしてくれる(以前の材質は両者がやわらかくて逃げすぎパワーダウンしていた)ので急激なウエザーが出にくく、初めて走らせる人でも扱いやすそうなバランスです。これは予想外の高ポイント。
ハルの出来・塗りもとっても綺麗で飾るには最高。
しかし!!! 付属のロープ(京商ではシート類をコードと呼んでいます)が最悪。ステー(スタンディングリギン)などに使うなら丈夫で良いのですが、セール等を操作するシート(ランニングリギン)が硬くて自由に動きません。風がかなり強くないとセールが開かないのです。また各部の張力・長さを調節するアジャスターも調整が大変でした。
風があるときは元気に走るのに、少し風が弱くなるとセールが開かないのでノーコンで回収不能になります。この艇のオーナーさんは偶然居合わせた心優しいウインドサーファーのお兄さんに回収してもらい難を逃れました。(超ベテランが操縦を変わってもコントロールできないので駄目です。初めての人等は夕方の凪などには気をつけましょう。帰れなくなります。ちなみにこの時旧タイプのフォーチュンは普通に戻ってきていました。)
完全完成艇なのですがシート交換が必要。もう一歩なんですが、詰めが....ねえ。(笑)加藤さんが見たら泣くかも。(081207追記)


フォーチュン612(プロポ付きと無しのセットがあります)
オラクルBMW(生産終了)
フォーチュン612U(08年3月発売予定)
フォーチューン612 II 2.4GHzレディセット
これも神様加藤さんの設計で、有名なグレーシャスのミニチュア版の様な形です。オラクルとフォーチュンはハルの塗装やセールの印刷、クルーのフィギアの有無が異なりますが基本は同じ型です。塗りも綺麗で飾っておくにも最適。メカ搭載まで全部完成しているバージョンは、本当にマストを立てて電池を入れればすぐ走ります。逆に、自分でメカを乗せようとするとスリムな艇なのでかなり大変かもしれません。セール生地が弱く力をかけるとすぐ伸びてしまうので取り扱い注意です。マストも細いので曲げてしまわないように注意。曲げても簡単に戻せますが。(笑)ブームもプラスチック製で細く柔らかいので風が強い時は添え木などをあてないと撓んでセール形状を保てなくなります。シークイーン同様キール・ラダーがとても綺麗な断面形状で、ポイントが高いです。小さい艇ですがちゃんと調整すると微風からかなりの風までとても良く走ります。本当です!!走らないという人もいますが本当によく走ります。(一方、ちゃんと調整できていないと全然走りません。これも本当です。(笑)艇が悪いのではなくて、小さい艇で調整が悪いと物理的に無理なんです。)
甲板が低いので、ハッチはテープで目張りしないと風を受けて大きく傾いた時に思いっきり水が入ります。特に強風時はほとんど横倒しになり方向転換もできなくなります。セールをカットしたり折りたたむなどして縮帆しないと前述の浸水の件もあり自殺行為です。沈没実績多数!(笑)
完成艇なのであまり取説のお世話にはなりませんが、セッティングの説明については疑問です。ホントに「2度」にセットしたら走らなくなる人が出てくると思いますが....。(笑)シートは各所で絡み防止、引っかかり対策が必要です。船内も含め対策しないとセールの動きを邪魔するので走らないヨットになってしまいます。この艇が走らないという評判はこの辺りも原因では?
セールの縫製やカットがメチャクチャな個体(前縁(ラフカーブ)が20mm以上”逆”Rになっているなど凄まじい....(爆))がありました。ハズレを引かないように要注意です。セールの印刷もロットによって濃淡があり、ものによってはカーブを阻害します。オラクルよりフォーチュンの方がマシらしいですが。

京商のHPによるとフォーチュン612Uが発売になるようです。チョット見、大幅な変更は無い様ですが、バラストが鉛から材質変更されたようで(鋳物の鉄かも)形状は明らかに太め。(笑)単4仕様になったのに重量が50g増えたのはバラスト重量自体も増えている可能性も....。風に強くなっているかもしれませんね。PE系のセールというのがどの様なものか?ですが、時代の流れを反映してケブラーからカーボン柄になりスケール感がアップしました!(笑)以前のものはロットにより品質のバラつきがあったので改善されていると良いですね。この艇の場合、セールが改善されれば走りは保障されたようなもの!発売が楽しみです。(0802)

フォーチュン612Uが発売されました。
注目のセールですが、本当にポリエチレン!雰囲気的にはオーストラリア等で使用されているプラスチックのお札みたい(もっとやわらかいが)な感じ。普通そんなもの手にしませんね。(笑)身近なものにはこれだけ厚手のポリエチレンがないので説明が難しいですが、近い感じとしてはお米の袋でしょうか。(笑)風に返る時、バサンバサンとウインドサーフィンの様な重い音がします。
この手の素材の特徴で伸びたり折れたら元に戻らないので取り扱い注意は変わりませんが、製造段階から型崩れしてしまって形状が悪いとか、印刷の影響で翼型カーブが出ないというトラブルは確実に避けられますね。セールの翼型に影響するラフ(前縁)やラフリングの穴位置も正確です。位置決め用のマークがあるなど、製造工程からの精度向上対策ですね。フィルムセールですから表面が滑らかです。スプレッダー等との干渉部分はこれまで同様修正が必要ですが、カーブはとてもきれいに(今までに比べ)出るようになりました。厚手の素材のため従来の布製セールに比べるとさすがに少し硬め(だからカーブが綺麗なんですが)です。微風での反応は多少(いや、かなり....かな?(笑))鈍いでしょうけれど、仕方ないでしょうね。微風だけ目をつぶれば、全体的なパフォーマンスアップは相当のものがあるはずです。風見等をつけて対応しましょう。
バラストは26.6φから33.8φに増えたのですが重量は359gと、残念ながら20gほど軽くなってしまいました。パッケージとの兼ね合いでしょうか、キールの深さ(バラスト下端までの長さ)が同じなのでバルブが太い分、キールストラットは短く、重心もわずかに高くなることになります。この差は大した差ではないですが。(笑)
前部ハッチにスポンジパッキンが追加されました。後部ハッチのスポンジ材質も防水タイプに変更され水密対策が進みました。細かな改良ですがポイントが高いです!
前作で気になっていた点が殆ど改善されています。セールはエンジンに相当するパーツです。材質的に耐久性は期待しにくいですが、RTS(レディートゥセール)艇ですから、箱から出して即ベストパフォーマンスでないと意味がありません。(当たりが出るまでオプションセールを買うのは無理!)最も大事な部分の品質が安定し、安心して買える(人に勧められる!)ようになったのが最高です。(08.03.28追記)
別件でセールを外す必要があったのでついでにチェックしてみました。綺麗な形です。実はこのセールになって初めてラフカーブの設定が判りました!過去の例からするとこの艇でセール寸法が測れるというのは画期的なことなのです。(笑)加藤さんらしい設定ですね。当たり前ですがちゃんと設計されている、良いデザインの艇だと言うことが確認出来ました。(08.06.12追記)
手持ちをお譲りすることになり、調整した艇の試走に立ち会いました。きれいなセールのお陰でしょう、ちょうどお手頃の風速での走りはとても良いです。ただ、やはりセールは硬いですね。フットを緩めてもセール上側のキャンバーが浅い感じです。シバーやその兆候も判りませんから風見頼りですね。微風で風が振れる時は反応の良いシーブリーズやCR−610に分がありそうです。同型同士や単独で使う分には問題ない(適切な調整済みの場合)ですが。うーん、マリンカップが微妙ですね。それから付属の電池ボックスは情報と異なり単3のままでした!ハッチの防水も所詮はスポンジ、完璧と言う訳ではないのでテープ張り、頻繁な浸水確認と排水等も従来どおりよろしくお願いしますね!(08.09.10追記)
フォーチューン612 II 2.4GHzレディセットが発売されました。フォーチュンのデッキ回りは結構入り組んでいて防水テープなどで目張りをするのが大変でした。2.4GHz化されたおかげでマリンカップなどの大会でもバンド変更(ハッチを開けてクリスタル交換)をしなくて済むのでとても便利になります。有り難いことです。(131101追記)

シーブリーズ600(生産終了)
マストやブームもしっかりしています。セールの生地がとても良く、きれいなカーブが出ます。変な生地だったり、凝った縫製や印刷がマイナスになる艇もありますが、本艇やCRシリーズのようにポリエステルスピンネーカー生地切りっぱなしのシンプルな構造のセールの方が機能面では上ですね。(細かいことを言うとCR−610では、僅かですがやはり印刷の悪影響があります。)キットオリジナルだとシートの取り回しやリンケージ等は多少無理がありますが小さい艇なので実用上は問題有りません。ハルがクルーザータイプで高さがあるためか、比較的水が入りにくいです。多少波がある時でも目張りすれば完璧です。このクラスでは一番実用的な艇なんですがもう売っていません。ハルやマストの重さがあるため、速度ではフォーチュンに負けそうですが風波のある時は強いかも!?また向こうがメチャクチャセールだったらこっちが楽勝です!(笑)


ピナクル(生産終了)
普通のキットはABS樹脂のブロー成型なのですが、FRP製ハルで塗装済みというきれいな艇です。少々重いみたいです。走らせるのがもったいないかもしれません。かなり色々いじらないと他の艇と競うレベルまで到達しないとのことです。



Chesapeake Performance Models (CPM) (AGインダストリーは会社が無くなりました)

CR−914
これも実艇設計者、竹井さんのデザインだそうです。艇自体は良いのですが製品が古すぎるためかキットとしては少々見劣りします。メカ搭載などは説明書も参考にならず、ほとんど自力で行う必要があります。メカプレートはただのベニアの板切れが入っているだけですし、サーボを両面テープとゴム止めにするなどと書いてあり、工作が苦手な初心者は悩まされるかもしれません。ここへたどり着けた人ならノースウインドのHPで参考例が見られるので大丈夫ですね(笑)。セールやマストなど、「メカ搭載関係以外は」とても良くできたキットで実用的です。ワンデザインレギュレーションの範囲内で手を入れる(ブームバング、ジブバランサー、トッピングリフトの3点セットを追加)だけで充分レースできる艇でベテランまで人気があります。(というか圧倒的にレース機会が多く、稼働率が高くなるのでベテランほどこの艇を選ぶ)ハルが幅広くマストも低め、小さめのセール(面積はCウインドより更に5%程小さい。G艇基準だと要するに最初からBリグ装備?)のため、強風には強い艇でベテランだと8〜10m程度の風までノーマル状態で走らせることが出来ます。大きめで失速しにくいラダーもポイントが高いです。逆に言うと、弱風性能は犠牲にされているわけで、弱風時のスピード自体はあまり速くありません。36クラスと言っても他の種類の艇と速度を比べるのは可哀想(頑張ってもG艇より少し重くなるし強風以外は不利)ですから、同じ914同士のワンデザインレースで使われます。基本的な部分がしっかりしていて改造の必要がないためワンデザインには好適な艇なのです。ブームにセールを止めるスプリング状の金具はテープ等でカバーしないと他の艇と接触した際に絡んで大変なことになります。プラ製の艤装パーツは経年変化でよく壊れる(10年ぐらい経つと(笑))様です。新古や中古艇などの場合は覚悟しましょう!
補修パーツ(いわゆる黒パーツ)購入のついでにセールを追加購入し、メインセールの高さをジブセールサイズに切り取れば強風仕様の出来上がり。これで走れなくなる風だと彩湖あたりでは危なくてゴムボートが出せずマークが打てなくなるのでレースは中止になる事が多いです。(笑)

一時期入手難が心配されたCR−914が、この所の人気でメーカーも本腰をいれたらしく完全復活のようです。国外の大量オーダーに対応するためのロットに国内分も乗せ、供給体制が整ったみたいです。新ロットは某超有名世界的セールメーカーの協力でクロス調達したとの事。これは楽しみです!(081014追記)

追記
今ごろになって....ですが、新しいセールを手に入れました。オフィシャルフリート対象の半額セールを利用したためです。(笑)概観はシーウインドのセールに似た感じです。シーウインドに比べると厚さが薄いのでしょうか、こちらの方がしなやかな感じがします。補強繊維風の印刷は今までの黄色から少し緑がかった灰色みたいなものに変わりました。(100524追記)

AGの撤退に伴いアメリカに渡った金型。 Chesapeake Performance Models (CPM)で販売が再開されました。Sale Price: $495.00 だそうです。サーボやプロポも付属するフルセットのお値段です。こんどはRCメカプレートなども付属しているみたいで作りやすいですね。完成艇や運搬ボックスなども用意されているみたいです。 (131101追記)

CR−610(生産終了)
914の小型版。まるで同じ形で縮小コピーみたいですが、こちらの方が先に発売されていたらしいです。やはり設計が古いのでメカ搭載は大変ですが、艇が小さく力も掛からないのでなんとかごまかせると思います。セールは914と同様でとても良い生地(印刷がなければもっと良かった)です。唯一の欠点はマストの継ぎ目でプラ部品のため強度がありません。適当なピアノ線等を中心の穴に差し込むと良いです。

08年夏、ついに生産終了になってしまいました。あとは店頭在庫を残すのみだそうです。現行の小型艇の中では珍しくまともなセール生地のキット、良く走る艇だったので残念です。

関西を中心にCR−610のブームが来ている様です。各地の月例会でも艇数増加中とのこと。参加者のお話では手軽なうえ、レースしてもとても楽しいそうです。安いので幾つも買って純正仕様の他、色々な仕様に作ったり改造のベースにしている人もいるそうです。(08.09.08追記)

CR−12 (ヘロン12)(生産終了)
古〜いキットで、コレクターズアイテムと思っていましたが、情報によると年に数艇ほどオークションに出て来るそうです。それならという事で、インプレッションです。当方も箱入りで作っても走らせてもいないのですが、キット内容と当時のビデオによるバーチャルインプレッション。(笑)
20数年前、AG社がジャパンレガッタを始めた頃使われていたのがヘロン12です。12インチでも、もちろん12センチでもなく、アメリカスカップに使用されていた12mクラスというカテゴリーから来ているみたいです。映画のWINDSやウイングキールの頃ですね。その後、ニューヘロン「カップレーサー12」と名前も代わりバージョンアップが図られました。
キットの箱を開けて見ると、「欠品か?」 と思うくらいパーツが少ないです。トイラジ並みのシンプルさで肩すかしを食らうかも。
50cm弱というサイズながらとてもよく走っている(ジャパンレガッタのビデオ)のは、グラスファイバー製のテーパーマスト(要するに釣竿)と、その特性を生かしたシュラウドレスリグかもしれません。一般的なアルミパイプと違って、マスト強度とサイズが最適化されているので、シュラウド(サイドステー)やスプレッダーもなくその分の空気抵抗が生じません。マストトップ付近の直径が細くなるのでマストの抵抗や乱流によるセールの効率低下も防げます。今の36/600クラスの一部やマーブルヘッドクラス艇がそうですね。
セットされている極薄のフィルムセールも高感度そうです。マストを包むような構造(ダブルラフ、ウインドサーフィン等と同じ)なのも抵抗や効率の点で有利そうです。ジブステー先端もクリート止め等ではなく、マスト内部を通ってデッキ付近で引き出し固定と、マスト上方は極力何も無くす方針。アンテナ線もマスト内蔵で徹底した空気抵抗対策です。
初めてビデオを見た時に「妙に良く走るなあ」と不思議だった(今風のバルブ&ストラットと違ってキール効率が悪そうだった)のですが、その後キットを手に入れて思い直しました。これはシンプルかつ高効率として、小型の模型として走りを追求した結果....なのでしょうね。
ハル等はABSでデッキの接着ぐらいで完成します。当時、サンワ製の専用RCセットが用意されていたようで、セール&ラダーサーボと受信機が一体化されたユニットをワンタッチで搭載できるようになっていました。強風等に使用するB・Cリグ製作を考慮した予備パーツや、ビニールの風船みたいなブイが3セット入っていたりもします。レースしてね!って感じ。(笑)
このハルを縦割りにして木製プレートに貼り付けた、おしゃれなハーフカットのディスプレーモデルも売っていたみたいです。キールの後縁が少し厚いのですが、鋸刃の分だったのかも。(笑)
この艇はプールサイズというコンパクトさゆえ、気軽に走らせたり、テーブルの上で夜な夜な改造したりパーツを追加したりが楽しかった....と、先輩が話していました。今のCR−610フリートに繋がる話ですね。
昨年、ベテランが彩湖で走らせました。もちろん超小型艇ですから速度の上限は低いですが、弱風域では他と比べてもなかなかの良い走りでした。(090225)
微風の彩湖のレースで驚異的な走りを目撃しました。ミニクラス(概ね650mm以下)各種キット混走のレースでしたが、全日本参加選手も複数いる中、前述と別なオーナーの艇が素晴らしい走りで抜け出し、全日本複数回優勝の選手(ミニクラス枠フルサイズ最新デザイン艇)とデッドヒート。互角の走りでした。
(2015.12.23)



TKモデル(日本物産?)製

グレーシャス(生産終了)
加藤さん設計の純粋にレース用のキットで、基本仕様のままでレースに勝てる艇です。素材、構造など全てが吟味され欠点らしい部分は見当たりません。ベテランになると、市販艇の枠を越えて36クラス仕様のセール或いはセールとマストに換装し、ケブラーなどのバリバリの36艇と互角にレースする人も居ます。
まず驚くのは取扱説明書。ものすごい分量の訂正がされており、不具合などは妥協せず細かな所まで徹底的に修正されているというのが判ります。普通のキットの場合、ハルはABSのブロー成形ですが、このハルはABS薄板を真空成型したものでとても軽量。要するにペットボトルと卵のパックの違いで、船首から石にぶつかると穴が開くほどです。(笑)ほかの市販艇は市販車・スポーツカー、この艇はレーシングカーですからね!!例えば某Cウインドと比べるとセールエリア10%、キール深さ5%、バラスト9%増しで、総重量は10%も軽いのですから比べる事自体無理があります。とてもバランスが良く微風から強風まで速い優秀な艇ですが、生産終了から時間が経ち、既にオークション等以外では手に入りません。オマケにプレミア商品となっていてとても高価です。軽量化を優先し一体成形ではないため、中古艇はハルと甲板の継ぎ目が剥がれる事もあり、その時はABS用接着剤のお世話になります。また素材が薄いので、塗装してないと劣化が厳しいらしいです。経年劣化で艤装のプラパーツが壊れて行くのでその都度補修が必要ですが、性能が良いこと、扱い易い事が今でも高く評価されて根強い支持を受けています。良い艇なので一人で2艇3艇と予備を所有している人も多く、時折手つかずの新品キットが放出される事も。手にはいったらラッキーですね。

情報修正
すみません、自分のデータだけで適当なことを書いていました。あるきっかけで調べて見たら特殊な事をしていなくても総重量はカタログ通りに2.55kgぐらいと判明。中には2.4kg台までありました。某艇基準だと15%ぐらいは軽い事になりますね。申し訳ありませんでした。(090915)

追加情報
加藤さんのお話では室内でもハルの劣化はおきるそうです。加藤さんは室内で直射日光が当たらない場所においてあったハルが割れてバラバラになったそうです。蛍光灯から紫外線が出るのは知られていますが多分そのためかもしれません。冷暗所保存というとオリーブオイルみたいですね。(笑)未塗装の場合の保管は箱や袋に入れて置くのが良さそうです。(100727)




タミヤ製

イノベーター(次回生産予定不明←生産終了か?)
タミヤらしく凝ったパーツ満載、スケール的要素を捨てた純粋なレース艇です。これも有名デザイナーの設計と聞きました。ラダーやバラストがあの艇にそっくり。同じデザイナーの艇ですから同じ形になるのでしょうね。(笑)キットとしては高品質、全く不満な点や不具合はなく、文字通りプラモデル(当たり前か?(笑))みたいに簡単であっという間に組み立てられます。あえてキールポケットを別パーツとして実現した厚さムラもなく軽いハル、ベアリング入りのグースネックなどどこをみても良く出来ています。高いマスト・広いセールエリアで微風に強いと思われていますが、実は微風で強いのはランニング(下り)。トータルでは微風よりもうすこし風がある時の方が元気がよい艇です。キールも異様に細長く、タッキング等で一度失速させてしまうと再び走り出すのが大変です。ベテランですら立ち往生する姿がたびたび見受けられます。これは例えば微風で速度が無い時などのタッキングに丁寧な操縦が要求されたり、風向きの変化にも適切な対処が必要と言うことです。周囲に障害物が多いなど乱流の中では難しい艇です。また、風が強くなり風圧がかかるとセールの形状を維持する事が難しくなり、初心者だと調整が大変かもしれません。グレーシャスと同じ貴重な極薄高感度スピンクロスセールですから伸ばしてしまわないように大切に使いましょう。強風ではマストが曲がる姿も見受けられます。薄肉軽量マストにも関わらず、Cウインド同様スプレッダーが1カ所で、極細ハルなのも厳しいですね。もちろんオリジナルは弱風〜順風用と割り切って(実際、弱風側に振って最適化しているのですから)、ホームセンターでアルミパイプ(普通の1mm厚)を買うなどして強風用のマスト&セールを用意出来ればもちろん問題ないのです(というか間違いなく最強クラスの戦闘力になります)。また、強風中のランニングで水没しながら突っ走る姿は圧巻です。ラダーも翼厚が変更(笑)されているので限界が高く思いのほかよく効きます。ちょっと尖った艇で、ノーマルだと風域が狭いですがグレーシャスと張り合える唯一の艇、グレーシャス同様に仕様に依っては36艇とバトル出来る艇であるため、レースシーンでは人気があり、オークションでは高値が付きます。さすがはタミヤ、今でもアフターサービスで補修パーツ(※一部を除く)が手に入るそうです。サービスに依れば生産終了では無いとのことですが、是非とも次期ロットを生産して欲しい艇ですね。
※マスト、バラスト、セールリングはメーカー欠品(080401現在)

ヤマハ・ラウンドザワールド(次回生産予定不明←生産終了か?)
名前の通り世界一周した外洋レーサーのスケール艇ですが改造の程度と調整によってはかなり速いです。大きくて効率が良いからなのでしょうね。外用レーサーだけあって強風にも強いみたいです。ただし、まともに走る艇にするにはいろいろな工夫や改造補強が必要みたいです。オリジナルのキールなんてコンニャクみたいにグネグネですからヒールすると捩れてしまい、風が吹いたらまともに風上へ上れません。(後退角がついたうえ更に後方へオフセットした重いバラストが樹脂製キールを思いっきり捻るため)要はイノベーターの正反対。基本は「水に浮かべ走らせる事も出来るディスプレーモデル」であって、ハードなセーリングを考慮して作られてはいない様です。この艇は鏡のような平水面に浮いていてもつまらないので、根性で改造して風波を乗り越える外洋レーサーを再現しましょう!!(もちろん競争するなど上り角を気にしなければノーマルで大丈夫です。世界一周などはアビームで走る事が多いそうですし。(笑))

ヤマハ・40EX(次回生産予定不明←生産終了か?)
お友達から頂いたので内容改定します。(ただしかなり古い物なのでロット、改造の有無等は不明)
クルーザータイプのスケール艇です。タミヤらしく、まさにヨットのプラモデル。RCヨットとしては小型ですが、プラモデルとしてはかなりの大型。40フィートのクルーザーというと、実艇ではかなり豪華なヨットという事になりますね。パルピット(手摺り)等も細かいモールドで再現されていますが、実際に走らせるとなるとシートが引っかかるかも。いっそのことマスト直近からシートを出すなど、割り切ってしまった方がよかったかも。リアルなマストやブームは丈夫、セールもポリエステル系極薄スピンネーカー、縫製も丁寧でとても綺麗です。一方、白や黒のスチロール樹脂製(プラモデルパーツ)のウインチやラット(舵輪)辺り、木製パーツ風床材ステッカーなどの質感は少々おもちゃっぽい感じもします。塗りやパーツ交換が必要かもしれません。またステー類のアジャスタ−やスナップなどが他の模型と同じような物を使っているので、スケールサイズ数十センチの巨大スナップ等は異様な光景です。(笑)この辺りを直せば更にスケール感が増すのでは?デッキの表面仕上げを工夫したり、ロープ類を飾ったり(実艇はこれでもかと言うぐらい色々なロープが這いまわっていますからね)すれば更に良さそうです。超ワイドハルなのでヒールしたらウエザーヘルムがきつそう。大きなラダーが抑えてくれそうですが、いずれにせよ速さを求める艇ではないので言うだけ野暮ですね。(笑)
ジブステーはやめてファーラー風にするとか、無意味に補強パッチやシームをつけるとか、この艇ならセールドライブ付けて機走してもいい....。夢は広がります。(笑)ラジコンでヨットの機能を生かしたアクションや走りも楽しめる大型プラモデルと捕らえれば大満足の1品かと。(090328改訂)


イノベーター、ヤマハ・ラウンド・ザ・ワールド、ヤマハ・40EXは取り扱い終了になった様です。空物RCと一緒に田宮HPから無くなっていたのでサービスに確認してみましたが、終了した時期等の記録は無いそうですが終わりらしいです。補修パーツは今まで同様供給されています。(イノベーター関係ではウレタンバンドが新たに欠品になりました)(090203追記)



ABCホビー製

ノースウインド36(生産終了)
すみません、良く判りません。外洋レーサー風の艇です。36インチクラスですが、この艇もブームがプラスチック製で柔らかく、キットのままでは使えないためアルミパイプなどに交換する必要があるそうです。セールもSQ艇と同じ様な素材でレースには使えないそうです。防水のための構造は凝っていますね。

ノースウインド28(生産終了)
すみません、良く判りません。ノースインド36のノウハウを投入した艇....らしいです。ABCのHPには乗っていませんが、なぜかマルサン・ホビーでは扱っていました。
参考:以前の広告 ←もしかして超レア?(笑)


ABCホビーのHPによればノースウインド36も終了らしいです。(090203追記)



ヒロボー製

海蓮(生産終了)
女性ヨットマンが世界一周した有名なヨットのスケールだそうです。フェアウインドと同じ様なクルーザータイプのヨットでレース艇ではありません。まあ、どんな艇でも複数揃えて競争すればレース艇な訳ですが。(笑)最近数量限定で再販売されましたが、HPにも載ってないので既に終了かも。

現物見せて頂きました。予想以上に素晴らしい出来でビックリ。細かな金属パーツなどとても高品質でスケール感も素晴らしい。セールも良い生地丁寧な縫製、とても良い品質でした。ハルのボリュームも凄い。堂々たるヨットです。クルーザータイプで雰囲気を求めるならベストな選択かも。他のレース艇などと走りを比較するのはナンセンス。クルーザー風ではなくてホントにスケールモデルと呼べる艇です。(080923追加)

ついでの追記。(笑)昨年の情報ですが、この艇を手に入れた方のお話では、マニアの間の取引では20万円程度の値がついているそうです。出来からすればたしかに納得なんですが....。(090203追記)



サンダータイガー製

ETNZ(エミレーツ・チーム・ニュージーランド)
アメリカスカップのニュージーランド艇を模したヨットです。1mですがルール上、インターナショナルワンメータークラスやJFクラスではありません。セール形状やショートモーメントのラダーなど、レースを意識した艇ではなく25分の1のスケールシップ的なヨットです。軽量なFRP製のハルはカラフルなステッカー塗装済み。(笑)ウイング(取り外し可能)も付いているバラストは鉄製で、環境には優しいですね。セールは素材・縫製ともに良い品質ですし、印刷されたマークもセールに悪影響を与えたりしていません。取説は英語ですが組み立てはとても簡単。ベニア製メカデッキはレーザーカットではめ込み式、接着剤やレンチまで付いていて初心者でもそのまま組むだけなら大きなプラモデル感覚です。各部とも実艇をよく再現していますからディスプレー用や形を楽しむスケール派には十分納得の出来るキットでしょう。ただし、走らせるための模型ヨットとしてみるとスプレッダー&シュラウド、グースネック、シートの取り回し等が実用面でイマイチです。走りを重視するなら、かなり工夫したり直さないと実用的なレベルにならないので残念ながら入門者向きではありません。具体的に言うと、キット標準のままだと弱風ではセールが開かず(特にグースネック(セールトップも含め)が硬く、メーンブームが返らないのでタッキング後、裏風のままになるので風に立ってしまい新しいタックで風をはらむ所までベア出来ない。ジャイブなら出来る)、風が強くなると薄いマストが曲がってしまうので、セールに派手なシワが....。要するに丁度良い風速に限られるという事です。もちろん丁度良い風ならそのままでもちゃんと走ります。(ただしオリジナルのままだとシートは絡む可能性大)他が良くできていてる上、走航面でも素直な特性だけに惜しいですね。キールとラダーの断面が分厚く少々抵抗が気になりますが強度は満点です。キールにステッカーが貼られていないのは、必要なら各自削って成形してから貼れ....という事なのかもしれませんね。(笑)

追記
後ろと前の区別がつかない(笑)、細長い楕円断面のキールとラダーの後縁を削って翼型風にしてみました。しかし、ラダーの面積(モーメント)不足はいかんともし難く、強風中ではタッキングもジャイビング(アビームからのベア)も出来ずコントロールが効きませんでした。(要するにCウインドと同じ)オリジナルは展示用、弱〜順風用と割り切って、強風時は大きなラダー(もちろん適切な厚さと翼型で!)を用意するほうが無難ですね。実艇ではセールトリマー等のクルーワークでヘルムや回頭性を確保しているのでしょう。実物アメリカスカップ艇でも刀のようなラダーの物がありますが、こういう過激なラダーデザインではハイレベルな操船テクニックが必要なんだという事が良く判り、学べます。(笑)方向転換をラダーに頼るのではなく、メインとジブをそれぞれ独立して動かせれば良さそうですね。
風圧でマストが曲がるのをサイドステー(PEに交換)で押さえようと張力をかけていったらチェーンプレートがちぎれて壊れました。走航中だったらデスマストで航行不能。危うくそんなシーンまでアメリカスカップを再現してしまう所でしたが、陸でラッキーでした。本当のアメリカスカップだって限度を超えた強風ならレースは中止です。この艇でリーフ(縮帆)は似合いません。スケールシップは無理せず程良い風の条件で美しい姿を楽しみましょう!コントロールの難しい艇を操るのも達成感がありそれなりに楽しいです。本当にじゃじゃ馬!タック出来ただけで感動します。(笑)

追記2
さらに補足です。この艇は尾翼容積が少ないわけですが(笑)、昔のニッチャレみたいに巨大ラダーをつけなくても、メインセールを開いてセットするとか、ツイストを多くつけるなどしてウエザーヘルムを殺せば操縦性は改善します。要するに上り角度を取れるようにと高望をしなければ良いわけです。他の艇と比べず単独で走らせればOK。これもスケール艇ですからね。(090328改訂追記)

追記3
たいした話題ではありませんが、ヤフオクではモンスーンという名前でカラーリング違いの艇が売られているみたいです。(090805追記)
ノーランティア。要するにこれも姉妹艇ですね。各部パーツも一緒みたいですから性格もご一緒でしょう。(笑)レーシングヨットって....前記各部を修正すればレース出来るかもしれませんね。(131101追記)

ビクトリアII
American Model Yacht Association (AMYA アメリカ モデルヨット協会)のレーシングクラスとして認定されたセーリングヨット....なのだそうです。CRシリーズに似ていますね。(笑)写真を見る限りでは914等CRシリーズと同様な品質と性格。ただしサイズが小さく水線長が短い分914より少し遅い....のではないかと推測されます。



グラウプナー製

マイクロマジック
グラウプナー社は世界的規模の模型メーカーですが、大企業のため商品数も多く正規代理店になるのは敷居が高いみたいで日本国内では流通し難いのだとか。AYARDやマルサンホビーなど、一部のお店でしか取り扱いがありませんが、お友達が寄付してくれたのでとりあえずキットの概要を。
マイクロマジックはヨーロッパで大流行している小型ヨットです。日本のクラスでいえばU−612のフォーチュンやCR−610と同じプールサイズといわれるクラスで、手軽なワンデザインレースが受けているようです。全長約530mmに対して全幅180mmのワイドハルは珍しいデザインです。風が強いヨーロッパでウケるのはこの辺りなのか?
マイクロマジックは色々なバージョンが発売されているようで、完成度やオプションの装備状況などが異なるみたいです。中にはバリバリのレース仕様の物もありますが、今回の艇はベーシックなバージョンで、基本的には一般的なキットと似たような素材や構成です。ただし、この艇の場合装飾パーツはありません。
ハルは薄板のバキューム成型。要するにグレーシャスと同じ工法でとても軽量なものです。ただし、ハルとデッキは接着されておらず、接着完成済みのグレーシャスとは異なります。デッキの接着前なら内部の工作も自由なのでその分のメリットはあると思えます。ベテランや工作好きな方にはかえって好都合かも。他の部分も含め、パーツの精度は高いですが、基本的にベニアダイカットなども含め素材のキット。工作の工程は多く、国産キットの様な完成度ではありません。文字通り、パーツを組んで作って行くという感じです。例えば、バラストのカバーがスチロールのバキュームで昔の飛行機キットのキャノピーみたいです。引きっぱなしを切り出して調整しながら半割れのカバーを作り、両側からバラストに被せて接着というのはそこそこの根気仕事ですね。(笑)
ちなみにレーシングバージョンはカーボンマストの他、ジブカウンターウエイト、同トッピングリフト、マストレーキ調整機構、キール位置前後調整構造、3chでのジブトリムなども付くそうです。(090805追記)

トゥルー・ブルー
製造元のアンダーソンではKOKOMO1000と呼んでいる艇のOEM版です。
セールやマスト、キールなどはシークイーンと同じですが、ハルが1mになり、キャビンもついてアメリカスカップ艇から外洋レーサー風に変わっています。グラウプナー版は選べませんが、本家アンダーソンではセールのカラーリングが何種類かあって選べるみたいです。
持って無いのでそれ以上判りませんがついでにリストアップしました。(笑)(090805追記)

GR65・GR65v2
一時期盛り上がりを見せたマイクロマジックでしたが、独自規格のためこの同じ艇が増えなければレースが面白くなりません。国内ではDF65(やRG65規格艇)が増える状況に伸び悩んでしまい、レースでもクラスが成立しなくなっていました。これは世界的にも同様らしく、自作要素の強いマイクロマジックのユーザーは主流となったRG65規格艇に乗り換えてしまったのではないでしょうか?お膝元のドイツでもRG65ばかりが目立ちます。
そこで新たにRG65規格で投入されたのがGR65です。
発売当初は(写真を見る限り)細身の船体ながら派手に沈んでしまっていて、どうみても走りそうにない目を疑うキットでした。(一流メーカーだったはずなのに何を考えているのか解らない、これがトラウマで個人的には当分G社製品は手を出したくありません(^^ゞ)
やはり売れなかったのでしょうか、現在はまるで違うデザイン、V2になっています。
V2はハルがFRP化されたそうですが、そこそこの重量で、軽量化ではなく小ロット生産のための変更でしょうね。デザイン的には割と新しいデザインを取り入れています。(残念ながら今の最先端のデザインでは無いですが)
前回の反動なのかハルの太さというか体積が異様に大きいので、余計に材料を使い重くなっていると考えられます。にも関わらず、小さなバラストのためか、今度は逆に浮いてしまっているのでやはり何か設計がおかしいのでしょう。
バラストとラダーが小さく、バランスが悪いようです。彩湖の月例レース等でも苦戦しており、ノーマルのDF65に及ばないレース結果になっています。(ちなみにオーナーはとても上手な人です!)
別な例でラダーとセール、マストをDF65の物に交換した艇はDFと同等(ただし微風で)に走っていました。
初期のX2はデッキ周りのレイアウトがだめで、セールが開かない状況だったそうですが、販売店にクレームを出したら次から治った製品が入荷したそうです。良く言えば小回りが利く、悪く言えば何も考えていないキットなのかもしれません。キールボックスの接着が正確でないためキールを取り付けると曲がってる物があるなども素人感満載。(笑)
解っている人が悪い所を指摘して改善が進めばよい製品になる、成長するキットかもしれませんね。今後、大きく化ける可能性があります。期待しましょう。
RG65は開発クラスですから、今後は気合の入った自作艇が出て来ます。世界的には一流どころが開発し、高級素材をふんだんに取り入れる等した高価な完成艇もあるなかで、現状のキットのままで勝負するのは厳しいでしょう。
一方、改造のベースにするなら良い素材です。そもそもRG65規格は改造を楽しむクラスなのですから。
勿論レースに出ないのならキットのままでも大きな問題は無いでしょう。そこそこ完成度が高いらしいので手軽に遊べるはずです。蛍光オレンジ(グリーンもあるらしい)のハルとセールが目立つ事請け合い!(笑)
(170728)(170730 彩湖ミニレースを受けて一部追記)




ホビーキング扱い


レジェンド
香港のホビーキングで売っている艇の一つです。激安艇ということでお友達数人が試しに購入してみました。ハルはETNZと同様なステッカー塗装で綺麗です。しかしハル以外は使えないとの事で、あるお友達は速攻でグレーシャスのキールとラダーとマストとセールに交換してしまいました。この改造艇の走りはグレーシャス並みでした。前記パーツが余っているなど準備できる人、自作出来る人には良いでしょう。(笑)
ハルは悪くないとか、ダメな所もETNZと同じようなので製造元は一緒かも。(010827記)


アフィニティー (AFFINITY)

ハイドロプロというブランド名で香港のホビーキングが6月末から販売開始したRG65規格艇です。ほかの走らない中華粗悪艇と異なり、この艇はたぶんジョイスウェイのOEMです。というのも、船体、セール以外のパーツは殆どドラゴンフォース65と同じだからです。(パーツはDFのバージョン4と5が混在使用されており、またコストダウンのために省略されている箇所等も多々ありますが....)
過去にはジョイスウエイも走らない艇ばかりだったのですがイギリスのベテランがプロジェクトを組み、DF65を開発した経緯があり、そのノウハウが流用されているわけです。セールも素材は異なりますが当然互換があります。(ただし公式レースでは後述する問題が起きる場合があります)送信機、受信機は付属していません。

粗悪激安艇の多くがキールやマスト等のリグ、セールなど、ヨットの性能に関わる心臓部の設計や強度、品質などが悪く、使い物にならないのに対し、これは実績のあるDF65と同じものや相当品を使用しているため、その時点で基本的な走りは保障されています。
良い点悪い点はDF65の項目を参照して頂ければほぼ同じ感じという事ですね。

DFと異なる点はハル(船体)デザインで、目立つのはバウ(船首)の形です。(メーターバウとデストロイヤーバウみたいな違い、外洋クルーザーとレース艇の違いみたいなことで艇に求めるものが違います)そのため、同じRG65規格(全長が規定されている)ながらこのハルは水線長(水につかる部分の長さ)が短くなるため理論上不利で速度は遅くなります。またビーム(船体の幅)もDFよりかなり太く、船型も最新デザインの流れではないため速度を競ったらDFには勝てそうもありません。  DF65とアフィニティー バウの比較 ビームの比較

見た目からすると見慣れたヨットの形(言い換えれば旧式という事ですが)なので、詳しくない人は何となく無難そうなこちらを選ぶ人もいそうですね。(^_^;)
船型が異なる事による他のマイナス要素として、DFと違ってヒールの変化で癖が出る事も予想されます。
流石にDFと同じ様なものを発売してしまうわけにもゆかず仕方ないのでしょう。ハルの工法・素材・塗リ等はDFまたはDFホワイトバージョンと同じです。

残念なハルの一方で、セールは50ミクロンのマイラーフィルム製で、上位クラスのDF95と同様。DF65ではサードパーティーから発売されている物と同様の素材で、補強等の作りもDF65と同様です。フィルムセールはデリケートなので扱いには気を使いますが、高級感があります。
しかし細かいことを言えば、これも中華クオリティーなのでしょうか。箱から出してみると既に扱い傷(折れ目)があちこちにありました。(笑)(勿論DF95やヨーロッパのサードパーティー製は傷一つない丁寧な扱いです。)
また、最初からリグとセールが標準の「Aリグ・セール」と強風用の「Bリグ・セール」の2セット用意されています。レースや走航会に使う場合、強風用のリグ・セールは必須なのでこれはありがたい仕様です。仕様的にはハル(非レーシング)とセール(レーシング)でアンバランスな気もしないではありませんが(笑)
艇の出来はOEMなのでDFと同様です。搭載されているサーボの品質等に関してはまだ不明ですが価格を考えると過剰な期待はできません。キット内容とは関係ありませんが販売がホビーキングという事で初期不良等の場合のサポートが少し心配です。

「ミニヨットその他混合クラス用」には良い選択になると思います。数の多いDF65が別クラスになるのでこの艇で勝てるでしょう。またDFと互換があるためパーツ取りなど色々使いまわしも可能になります。DFはワンデザインレースで使いますからそのままにしておいて、こちらは改造を楽しむベース艇にしても良いですし。
説明書は英文、しかも少々貧弱なのでDF未経験者や初めて手にする人は困るかもしれません。安いのに入門者に勧め難いのは残念です。
(例えばメインブームの位置合わせの説明なども致命的な間違いがあります。ヨットを知らない人が作っている事がバレてしまいます。なんでDFを参考にしないんでしょうかね?(笑))(ラジオレスなのに受信機搭載等の説明もありません(ページが空白になっています(笑))から入門者は困るかもしれませんね。)

キットの梱包の外箱がDFとは異なります。例によって発泡の梱包材の裏側に船台が押し込められていますがこれだと気が付かないかも。欠品だと騒がないようにしましょう。(笑)

余談になりますが、このアフィニティー艇のセールはDF65と同サイズで取り付け自体は互換性があります。しかしDF65のクラスルールではアウトなので、DFのレースでは使用できません。
なぜかというとDF65のクラスルールでは、このアフィニティーのセールは社外品。つまりサードパーティー製や自作セールと同様の扱いになり、指定された寸法でなければならないと決められています。しかし、残念な事にこのセールは寸法制限を満たしていません。
なんでDFでも使えるようにしてくれなかったんでしょうかね?ルール読んでないのか、その気は無いのか。(笑)DFで使えるようにしてくれればとてもありがたかったんですが。残念!
(DF65の純正セールとの扱いの違いについてはDFのクラスルールで確認してくださいね)
(2016.07.03)

先日の彩湖ミニクラスレースで進水・初走航させました。DF65とは別枠のその他のクラスになるのでマイクロマジックやCR−610等との混走で、それらとの比較を主に行いました。結論から言うと癖が強くて難しい印象でした。DF65があまりにもバランスが良く素直なのでどうしてもそれと比較してしまうためという面もあるでしょうけれど、完成されたバランスを持つ艇の一部部品を流用するだけではバランスが崩れるのは当然の結果です。走らせる前から判っていた事ですが、これにはかなり悩まされました。
ミニクラスその他の部はレギュレーションの縛りが無いのでパーツ変更である程度は改善が可能です。まず標準キールよりDF65のショートキールの方が相性が良かったです。また、さすがにこのサイズで50ミクロンのマイラーセールは硬すぎます。巨大な1mクラスやマーブルヘッドですら弱風用のNo.1セールは35ミクロン、場合によっては25を使う訳ですから無謀です。(笑)これもDF65のスピンクロスに交換したいところですね。
ウエザーヘルムの出方にかなり癖があり、ベテランにはじゃじゃ馬を乗りこなす事も楽しいかもしれませんが入門者だとシバーさせて艇を止めてしまうなど扱い難い可能性があります。風が強く吹いた時にDF95のラダーをつけてみましたが安定性が改善し扱いやすくなりました。
あくまでマイクロマジックやCR−610とレースする場合やそれらと対等に戦う場合の話です。この艇だけでマッチレースをするなどにはそのままで使えます。CRシリーズの様にタッキング性能は良いのでマッチレース向きですね。
ヨットはバランスが肝心と改めて基本を確認させられました。
(2016.08.01)

半年ほど走って調整がまとまり(未知の艇としては標準的な期間)、彩湖ヨットレースでも実績が出て来ましたので追記します。
やはりショートキールの相性が良いです。固いセールはカーブがきれいですが、その分調整がシビアです。少しバングを回すだけでもきっちり反応するためです。特に弱風では風を捉えられなくなる事があるので、その様な場面では柔軟なスピンクロスにアドバンテージがありそうです。特に微風ではフォーチュン(ただし自作セール艇)にはかないません。
全般的に抵抗が大きく速度が出ないので上り角度での勝負になります(パワーが掛かってヒールしたときに抵抗が減る設計のDFとは違う、昔のデザインなので)が、効率の点でMM艇などは圧倒します。良いセールだからでもありますが、上り角度勝負になるとシバーも解りにくくなるなどセールの硬さはデメリットになります。やはり相性は良くないです。(^^ゞ
入門者など、扱いに不慣れな方はDF等のクロスセールに交換すればかなり楽に調整・走航できると思います。或いはもっと速くなるかも。フィルムと違ってしわや折り目も付かないですしね。
フル互換をいかしてDFの「A+」リグ・セール投入は面白そうです。
他のパーツも互換があるし。DFより安いので、取りあえず手軽に始めて、少しづつオプション追加して遊ぶのにはいいでしょうね。
半年程度ではサーボの動作は問題ありません。ただし、同じヒート数を走ったDFと比べると電池の減りが毎回多いのが少々気になります。
(2017.02.20)






その他のキット

ここに紹介した以外にも国内で入手可能なキットは沢山あります。輸入品でもしっかりしたメーカーの物もあり、また外国ではポピュラーなクラスになっている艇もあります。多くの人が良いと評価しているのです。
良く走るヨットを見つける方法は色々あり、人柱になる方法もありますが、それ以外にも、国内で開催されているレースや走航会でどんなヨットが参加しているか調べればすぐわかります。時折珍しいヨットも来ますが、次はもう来ない事や、これはいいと真似して買う人が居ないというのが現実です。
ベテランが見て、これはなあ....というヨットがあるのも残念ですが事実です。(例えば写真を見ただけでダメなことが判ってしまう事もあるのです)
特に小さい物(要するにトイラジ)は要注意、というか絶望的です。
同じ密度の水に浮かび風で走るので小さいと物理的に不利ですから、小さければ小さいほど基本なデザインや品質がしっかりしていないといけないのですが、オモチャはそんなこと考えて作られていません。
ある艇などはまったく風上へ登れない、どうにもならないとのこと。(笑)
あとは外国製の得体のしれないキット。見かけだけでがっかり物が殆どでしょう。
そんなことを知っていて、あえて走らないモノを手に入れいじって遊ぶとか、人柱になるというのであれば構わないのですが、知らずに走らないヨットを買ってしまうと悲劇です。ヨットの面白さがわからないと燃えないごみに、またちょっと無理するだけで湖底の藻屑となってしまいます。(笑)

商品の品質や特性等を十分ご理解の上、ご購入下さい。(笑)




関連リンク

京商のホームページ
各種ヨット等の紹介と補修パーツも手に入ります。
Chespeahe Performance Models のホームページ
CR914のキットや完成艇、パーツが売ってます。
North Windのホームページ
CR914を組む場合、初めての人はここを参考にしないと大変です。(笑)
田宮のホームページ
アフターではまだパーツが買えます。
ABCホビーのホームページ
生産終了品としてノースウインド36の紹介があります。
アンダーソン・ジャパンのホームページ
準備中みたいです。
本家アンダーソンはこちら サンダータイガー・ジャパンのホームページ
ETNZとビクトリア2の紹介があります。
マルサン・ホビーのホームページ
ヨットや補修パーツを扱っている模型店です。発売元にはないノースウインド28の紹介がありま  した。(笑)


彩湖RCヨットレースのホームページ
RCヨット解説として各種市販艇の紹介があります。ご参考に!


注:市販艇の定義というのは定まったものが無さそうですが、個人的には同一性や入手性がポイントではないかと思います。「国内メーカー或いは国内に正規代理店のあるメーカーのキット等で、模型店等を通じて一般に入手可能な物」....という様な感じではないかなと思います。最近はネットショップも多いですし海外製でも安定的に手に入る物もありますからそれらも含まれるでしょうね。
また、「過去相当数の販売実績があった艇などでオークション等で取引がある艇やレースエントリーがある現役艇」も含まれるのではないかなと思います。ヨットは墜落しないので寿命が長く、性能が良いモデルであれば製造中止された艇も現役が多いですからね。

何か新しい艇が出ていたら彩湖の掲示板等で教えて頂けると助かります。(笑)




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ご注意
キット等にはバラツキも考えられるため、たまたまそうだったという事もあるかと思います。ロットによっても異なる可能性もあるでしょう。
このページを作るにあたっては、自分の経験以外にも、知人の艇や意見、過去十数年間の走航会・レース等での状況、その艇について造詣の深いベテランのご意見なども参考にしていますが、メーカーが改善を図っている場合もあり、本ページのアップデートも完全とは言い切れません。勿論個人的趣味も含まれます。それらの点をご理解の上でのご利用をお願いします。

参考にした本人所有の市販艇(但し過去形も含む)は以下の通りです。
標本数が少ないものもありますが、お許し下さい。

シークイーン:キット×1(頂き物)
シーウインド:キット×4(ABS×4(うち頂き物×2)、カーボン×1)、同スペアパーツセール×3
フェアウインド:キット×1
シードルフィン:キット×1、スペアパーツセール×3
フォーチュン:キット×4(うち頂き物×2)、スペアパーツセール×3(うち頂き物×1)
フォーチュンU:キット×2(うち頂き物×1)
オラクルBMW:キット×2(うち頂き物×1)
シーブリーズ:キット×1
CR−914:キット×3、(うち頂き物×2)、同スペアパーツセール×7
CR−610:キット×3(うち頂き物×3)
CR−12:キット×1
グレーシャス:キット×3(うち頂き物×1)
イノベーター:キット×2(うち頂き物×1)
ヤマハ40EX:キット×1(頂き物)
ETNZ:キット×1
マイクロマジック:キット×1(頂き物)
ドラゴンフォース65:RTR・V4×1
ドラゴンフォース65:RTR・V5×1
ドラゴンフォース65:RTR・V5ホワイトバージョン×2(うち頂き物×1)
ドラゴンフォース65:RTR・V6(PNP)×1
ドラゴンフライト95:RTRラジオレス×2
アフィニティー×1
海蓮×1


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