シーウインドセッティングマニュアルのページ

シーウインドの調整

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シーウインドレディーセット調整方法(というか修正方法・マニュアル?)

久々に京商マリンカップに出てみたらシーウインドの盛況ぶりにびっくり。その他の場所でも新規のシーウインドオーナーさんに出会う事が多くこれまたびっくり。完全完成のレディーセットのおかげでしょうね。
ラジコン技術見ました!といって当方のセッティングを完全再現してくれている人もいました。ありがとう!あとは練習あるのみです!!
でも、走りの悪い人のセッティングを見ると決まっておかしい。
マリンカップでもその他の場所でも殆ど同じ説明をしてセッティングの修正をしてさし上げました。
なぜ?と思ってレディーセットのマニュアル(取扱説明書)を確認したら、あれまあ....。
せっかくマニュアルを更新したのだからセッティング方法もついでに修正してほしかったなあ。(笑)

ラジコン技術のバックナンバーも廃番になってしまったようなので、改めて説明書きます。ご参考にどうぞ!





最優先事項
  とりあえずキットのまま(無改造)で出来る内容です。

1.ブーム角度の変更
まず最初に説明書15ページ目、セールの角度の指示(図示)がおかしいです。2〜3度と書いてありますが図は10度位に見えますね。(笑)またジブは数値が無いですが見た目でメインと合わせてしまいそうですね。平行に。
セールは基準にしにくいのでブーム(ジブブーム:展開図48、メインブーム:展開図33)を基準にします。
セールを一番閉じた時に、ジブブームはサイドステー(110cmコードと170cmコード)の付け根を向くように。メインブームは舵輪後ろ横のハルに角がある所を向くようにしてください。
セールを一番開いた時はジブブームはハルのセンターラインに対して90度近く(出来る限り開くように)。メインブームは途中でサイドステーに当たると思うのでそこまでとします。

理由:後日説明します(笑)


2.ジブクリュー位置の変更
ジブクリュー(ジブセール後ろ下角)を固定しているシート(ひも:展開図61の50cmコード)の取り付けが黒いプラパーツ(A5)の先端というか後ろ側の穴に通っているのではないでしょうか?これをプラパーツの2つある穴の前側の穴に変更します。

理由:ジブセールにキャンバーがつき、効率よくヨットが走るようになります。最初の板の様なセールではパワー(推進力)が出ません。どうしてもパワーダウンさせたい場合には板にします。(笑)


3.装飾艤装の撤去またはカバー
甲板上のパーツ(展開図E系)にシート(セールコントロール用のひも)が引っかかるとノーコンになります。見た目が気にならないなら撤去しましょう。或いは走らせる時だけマスキングテープやOPPテープなどでカバーしてシートが引っかからないように対策しましょう。

理由:説明不要(笑)ノーコンで回収不能となったり沈没させたりで艇を失う人はかなり多いんですよ!


4.ジブハリヤードの調整
説明書15ページ目、右上の図のパーツB3でジブセール(前側のセール)を釣り上げています。これがジブハリヤードです(たぶん)。展開図がいまいち良く判りませんが。
また、取り付け長さの品質管理も不明なので判りませんけど、70mmで作ってあるなら70mm(にしろ)と図示する意味が良く判りません。
まあ70mmにこだわらず説明すると、パーツB3を動かしてジブセールのラフ(前縁)のしわが消える様に調整します。
目安としては少し緩めが良く、ジブが1〜2mm程度上下に動く程度にしましょう。
ジブセールを釣り上げすぎるとラフ全長に渡って縦方向のしわができます。これは最悪です。また、緩すぎるとラフに直角方向(横方向)の折れ目か皺が、1つか複数出来ます。その中間にします。

理由:飛行機の翼では前縁の10%がとても大事と言われています。前縁に空気の流れを乱す様なしわが入り翼型が崩れるとセールは翼としての機能を失い性能が大幅にダウンします。


5.ジブステーの調整
説明書15ページ目、右上の図のパーツB3でジブセール(前側のセール)を釣り上げるわけですが、そうすると同図の255mmの意味が無くなりますね。(笑)
ジブブーム(セールが取り付けられている丸いアルミパイプ:展開図48)をハルに取り付けるための金具(ステンレス板製:展開図12)が船首部分の甲板にありますが、その穴とマストにあるジブステー取り付けパーツ(黒いプラパーツ:B2)の穴の距離を計ります。
1260mmが基本です。強風時は1250から1240mm程度にします。微風時は1270mm程度にする事も可能です。19ページの説明です。
調整方法は14ページ「2」の通りです。
一度計ってセッティングが決まったら、シート(ひも)やマストにマーキングすると次から楽です。

理由:マストの前後傾斜は艇のセッティングの基本です。ジブステーの調整が「コードを引っ張って巻き直す」では具体性がなく良く判らないからです。セッティングに基準や再現性が無いと(艇の癖も毎回変わるし)毎回試行錯誤で苦労します。


6.バックステーの調整
前述のジブステーの調整でマストの前後方向の傾きを調整するわけですが、説明書19ページの説明では調整方法が良く判りません。
具体的にはジブステーの調整とあわせてバックステー(14ページ190cmコード)のB3パーツで調整します。
ジブステーの調整が1260mmの場合、「標準的には」1540mm程度になると思います。

注意:この時、マストは「少し」弓なりに後ろへ反る形になります。
反りが無くマストがまっすぐなままだとメインセール(後ろ側のセール)のラフ(前縁)の部分に縦方向全長の皺や急なカーブが出来、同時にセールの後半はフラットになると思います。
マストが反りすぎだとセールが全面的にフラットになると思います。
(ロットによってはならない場合もありえます)
セールがなめらかなカーブ(飛行機の翼上面のカーブの様な形)を描くのが良い所です。

理由:メインセールの翼型はバックステーの調整とメインセールの縫製等(品質のばらつき)で変わるので製品毎に個別な対応が必要です。



つづく




最優先事項 その2
  一つだけ穴を開けます。1.5〜2mm程度のドリルかキリが必要です。


7.メインセール・クリューの変更
前述の2.ジブクリュー位置の変更でジブセールのキャンバーを確保しましたが、メインセールも同様に対処します。 展開図の33メインブーム後端についているA4パーツ(黒いプラパーツ)の穴を前側にもう一つ開けなおします。その穴に61(50cmコード)を通し直します。

理由:ジブセール同様、メインセールにキャンバーがつきます。同様にフラットだとパワーダウンします。


8.メインセール・ツイストの調整
前述の7.メインセール・クリューの変更で61(50cmコード)を通し直しましたが、この時コードを緩くして固定します。 メインセール後縁がたるんでセール上部が余計に開くようになります。これがツイストです。イメージ的には飛行機のネジリ下げや、プロペラのピッチ分布に相当します。
この緩さ加減は少々微妙です。少ないより多めの方が艇の挙動や特性が安定します。緩すぎると効率が悪くなりパワーダウンします。標準に比べ強風時は少し多め(緩め)にしてパワーダウンさせます。

理由:後日説明します(笑)

注意:多分大丈夫だとは思いますが、上記の方法で調整した場合、シート61(50cmコード)の設定状況によっては、マストを分解すると(バックステーを外すと)セール後縁に力がかかってしまう場合があります。力がかかっているとセールを伸ばして駄目にしてしまうので、必ず確認して分解保管してください。必要な場合はシート61を緩めて保管してください。



ここまでの総括

ここまで加藤”流”の調整をしてきました。
調整を確認するためには艇を床や地面に横倒しにしてマストの方向から眺めます。永井”流”(笑)(写真参照)

1.ブーム角度の変更
ジブブームはステーの付け根を向いています。
メインブームは舵輪後方の角を向いています。微風ではフットレール(E14・黒プラパーツ)の端あたり。強風では船体の端あたりに調整しても良いです。

2.ジブクリュー位置の変更
ジブセールの底辺(フット)が膨らんでいます。

4.ジブハリヤードの調整 ジブセール前縁は縦じわがなくスムーズです。
(今は重さで垂れ下がるのでセール部分は翼型カーブにはなりません。)

6.バックステーの調整
マストがわずかに弓なりにしなっています。
セールは綺麗な翼型になっています。カーブの深さは10%程度。カーブの一番深い所が前縁から3分の1あたりになると良いです。前縁側(マスト側)のカーブがきつい場合や全体にフラットなのは修正が必要です。

7.メインセール・クリューの変更
メインセールの底辺(フット)が膨らんでいます。

8.メインセール・ツイストの調整
一番下のバテン(展開図46)は船体のセンターラインと平行に。
上から2番目のバテン(展開図43)はメインブームと平行になっています。


ちなみに、写真の艇はキットのため、メインウインチ(メインシートブライダルリングの取り付けに必要)以外の装飾艤装パーツは取り付けませんでした。可能であればトラブル防止のため装飾部品の取り外しをお勧めします。



「6.バックステーの調整」の補足です
バックステーを引きすぎるとセールがフラットになります。

ついでになりますが、この写真ではハリヤードを再調整していないため相対的に張力が緩みセールのラフに横方向のシワが入り始めているのが判ります。「4.ジブハリヤードの調整」で説明した内容と同じです。またこの写真は「7.メインセール・クリューの変更」が元の位置なのでセールのフットがフラットなのが判ります。これは後述する強風用のデパワーのセット(形状)です。

バックステーを緩めるとセールのカーブが前に寄ります。

ここでも、ハリヤードを再調整していないため相対的に張力が強くなりセールのラフが急カーブになっていますが、更に進むと縦方向のシワになります。

注:写真の水色の線は画像に書き込んだものではなく、実際にセールに張り付けたマスキングテープです。調整が良いときれいなカーブになりますが、縫製のばらつきなどでそうならない場合もあります。





キットの範囲で出来るチューニングはこれが限界ですが基本的には十分な走航ができるレベルだと思います。(ただし微風と強風は除く)
この先は追加部品等が必要になります。



つづく







一般的レース装備
  他のヨットと一緒に走る場合やレースで走るための装備です。

9.絡まり防止の措置
シーウインドのブーム後端にはクリートB4、B5がありますが、他のヨットと接触した場合このクリートが他のヨットを引っ掛けてしまい離脱不能になります。絡まったままノーコンですから横倒しになる事も多く、回収に手間取っているうちに浸水して沈没する例もあります。調整終了後は丈夫なテープ等でカバーするなどして引っ掛かりを防止する必要があります。

絡まり防止のためにクリートをブームの下側に移設する方法もあります。新たに取り付け用の穴を開ける必要があります。

必ず実施してください!



10.バンパー
接触の際、相手のヨットの破損等を軽減させるためのバンパーを船首に取り付けます。FAQのバンパーの項を参照してください。

必ず実施してください!








微風対策
  微風でも走れるヨットにするための装備を取付けます。

11.ジブブームトッピングリフトの装備
材料は直径1.2〜1.5mm程度のステンレス線かピアノ線、コードの様な糸(伸びにくい糸)、バウジー(B3)。ゴムひも、スナッップがあればなお良いです。
ステンレス線はホームセンター、或いは釣具店に仕掛け作成用で売っています。スナップも釣具店か100均の釣り具コーナー。バウジーはキットの余りかサーボホーンの切れ端。プラスチックの板に穴をあけても良いですし、シャツのボタンでも機能します。伸びにくい糸は何でも良いですが、ゴムひもは100均の物は水に濡れると伸びる物があるので注意が必要です。
構造は簡単でジブブーム後端にステンレス線をテープ止めまたは接着して延長。その先端とジブステーの間にトッピングリフトを取り付けます。トッピングリフトの一部はゴムひもとダブっており、トッピングリフトの荷重が抜けたときにゴムひもがたるみを吸収します。強風になるとトッピングリフトがたるんでスプレッダーに引っかかるので、その対策ですがスナップで丸ごと外してしまう方法もあります。
調整はメインセールと同様でジブセール上方のバテンがブームと平行になる程度に開くまでトッピングリフトの長さを詰めて調整します。

トッピングリフトはジブブーム後端を持ち上げてジブセールにメインセールと同様のねじれ(ツイスト)をつける装備です。 加藤流ではトッピングリフトを使いませんがシーウインドでは構造上の問題もあり調整が難しいので私はトッピングリフトをお勧めしいます。

微風でもセールが開きやすくなり、ジブセール上方の失速が防げるのでその分パワーが出ます。


トッピングリフトの構成(説明用なので寸法比率は実際と異なります)


トッピングリフトでブーム後端を持ちあげます。張力がかかっておりゴムひもは伸びています。


セールへの風圧でブーム後端が更に持ち上がった場合、トッピングリフトの張力が抜けてもゴムが吸収するので弛みません。


上部はジブステーに取り付けます。セールに干渉しない事。




12.ジブブームバランサーウエイトの装備
材料は直径0.8から1mm程度のステンレス線かピアノ線、6号程度のおもり。

前述のステンレス線等をヘアピン状に曲げ6号のおもりに通してジブブーム先端にテープで巻くなどして固定します。バランスのとり方には諸説ありますが、ヨットを横倒しにしてブームが水平になる程度が基本となります。
ルールによっては船首前端より前に飛び出す事を禁止している場合があるのでアームはあまり長くはできません。また、おもりの形状によっては他のヨットと絡んだ場合に外れなくなってしまうため、後端側がテーパーになっているなど外れやすくする配慮が必要です。


メインセール及びブームの回転軸は垂直なので問題無いのですが、ジブセール及びブームは回転軸が斜めのためぶら下がる形となり、微風ではセールが開きません。開かないジブセールが風を受け止めてしまうためヨットの舳(船首)が押され、どんどん風下へ向いてしまいます。
微風でもジブセールが開くので風下へ流されなくなり、推力も出ます。


構成


ブームへの取り付け



つづく








強風対策
  強風でも走れるヨットにするための対策と装備を用意します。

注:基本的にシーウインドは風に強くありません。対策が不十分な場合ノーコン等のトラブルになるため風が強い時は無理せず慎重に対応してください。


13.マストレーキ
ジブステーの長さを変えてマスト位置を標準から前方へ傾けます。
マストの前後の傾きは「5.ジブステーの調整」で行った通り、ジブセールのコードが取り付けてある、「船体側の金具の穴」から、「マスト側のプラパーツの穴」までの距離を測ります。合わせてバックステーの再調整も必要になります。計って調節が済んだらコード等にマーキングしてしまえば次回から簡単に合わせられます。
マストを前傾させると風が強い時に現れる風上を向きたがる癖を減らすことが出来、操縦が楽になります。ただしヒール(風でヨットが傾く事)が減るわけでは無いので、後述するようにヒールが原因で出る問題には対処できません。


マストの標準位置と強風時の値

ラジ技のこの図では、紙面の都合でバックステーは(フォアステーに合わせる)と簡単に説明してしまいましたが、正確には「フォアステーを調節した場合、マストの曲がり具合やセールのカーブが適切になる様にバックステーを合わせる」という事になります。またサイドの1454mmも状況により変わりますが左右はそろえて垂直を維持しましょう。


14.ラダーの拡張
シーウインドオーナーなら100%経験するラダーのノーコン。(笑)「あれ、全然曲がらない。」と最初はだれでもびっくりします。慣れないうちは舵がよく効く様にすると無難です。当然直進安定性も増すので癖が少なくなり走らせやすくなります。
ラダーの後縁にプラ板を張り付けたり、厚手のポリエステルテープを貼り重ねたりして面積を増やし、平面形を変えます。2つ折りにしたプラ板の周囲を耐水性のあるテープや両面で止めて、鞘の様にラダーに被せてもOKです。差し込んだ後、根元側にテープを貼れば抜け落ちません。

ルールによっては改造を許さない場合や、延長を5mm以内に限っている場合があるのでイベントの内容は確認してください。また予備が用意出来る場合以外は接着等で戻せなくなる方法は避けた方が賢明です。
シーウインドのラダーは恰好は良いのですが、強風になると効かなくなりコントロールができなくなる事があります。ベテランは適切な操作でコントロールする事も出来ますが、入門者には無理があります。
この対応で面積が増え、平面形が変わる事で操縦性、安定性が増し、操縦しやすく、癖も出にくくなります。
高性能な実艇はシーウインドのような性能重視のラダーデザインが多いそうです。しかし、それはラダーに手ごたえがあるため失速などを未然に防いで適切な操舵が出来るからで、模型とは違いがあります。勿論慣れてくれば手ごたえのないラジコンでも負荷等を想像できるようになります。



ラダーの拡張

左の拡張例はプラ板を芯にして両面からポリエステルテープなどを張り合わせたもの。通常時でも体験走航のため艇をレンタルする場合は操縦を容易にするため必須のアイテムになっています。

プラ板製の鞘を被せる

彩湖メンバーM.Nさんのナイスなアイデア。二つ折りにしたプラ板の後縁を閉じて、ラダーにかぶせてテープで抜け止め。コンビニ弁当の蓋等でもいけます。付けたり外したりで効果が確認しやすいです。騙されたと思って試してみてください!(笑)


15.メインセールのカット
メインセール上部をカットして強風用セールにします。
単純にカットすると上端の補強やロープの取付けはやり直す必要がありますが、カットする際に前縁側の縫目付近だけ元のまま残しておき、取付け直しをしないでそのまま使う応急的・現場的な対応も出来ます。
カットする際はメインセールの高さだけをジブセールと同程度まで減らします。
「7.メインセール・クリューの変更」で行ったメインセールの底辺(フット)の変更は元に戻します。(後ろの穴にする)

事前に準備する場合には予備のセールを購入して元のセールと比べます。縫製の良い方を残し、悪い方をカットして使用します。特に上半分の縫製が悪いとそのセールは使い物にならないからです。
なお京商マリンカップではセールのカットは禁止されています。

強風でセールが高すぎると大きくヒール(ヨットが傾く)しますが、この時ラダーは水平になってしまうので操作しても船尾を上下させるだけで一切方向転換できません。シーウインドを強風で走らせるとタッキング(風上方向への方向転換)もベア・アウェイ(風下へ向きを変える)も出来なくなりそのままノーコンで走り続けます。これは沖に向かって手を放したらそれっきりで戻ってこない事を意味します。
また下り(ランニング)では水中に突っ込んでしまうバウ沈が起こります。横倒しになるなどして操縦不能や沈没になります。


強風用セールの例

上部のバテン(セール後縁側に張り付いている補強の樹脂板)は最悪無くても構いません。(それほど大きな影響はありません)縫製が悪いものを使用しているのでセールのカーブは悪いですが悪条件下なので多少の違いは判らなくなります。

強風用セールの走り(中央の赤リボン艇)

全くのヨット未経験者に強風仕様のシーウインドをレンタルした所、周囲のベテラン(強風に強いグレーシャスやCR-914)と一緒に走る事が出来ました。この時、一緒にスタートした他のノーマルシーウインドは全てノーコンで対岸まで流されるなどしていました。

強風用セールによる下り(ランニング)の例(左側、赤リボン艇)

強風でバウ沈するとベテラン(右)でも減速、最悪ノーコンとなります。一方、強風対策していれば船首が沈まず、場合によっては浮き上がるためプレーニングに入り高速走航でこの様なごぼう抜きです。




強風対策2
  応急的な対策で、手軽に試す方法です。



16.メインセールのツイスト変更
「8.メインセール・ツイストの調整」で行った調整を更に増やします。 加工を必要としないため順序が逆とも思えますが、あくまで緊急避難的な対応と考えてください。セールの高さを低くするのが正しい対処です。

ツイストが増すとセール上部が大きく開いて風を受けなくなります。セール下部だけで風を受けるのでセールをカットして面積(高さ)を減らすのと同様の効果になります。
一方、この状態ではセール上部は旗の様になびく(シバーと言う)状態になり大きな抵抗になります。抵抗が増えて速度が確保できないと勢いがつかずタッキングに失敗する可能性があります。また、ベア・アウェイ(風下へ向ける)の場合はセール全面が風を受ける事になり、ヒールが増えてしまいますから前述の通り方向転換できない場合も有り得ます。同様にランニングも風を受けるのでバウチンは防げません。


大きくツイストしたセール

見た目、小さなセールを装備したのと同様の形になっています。写真の例ではジブセールも風圧で自然に大きくツイストしてしまっていますが、ジブセールの面積が減るとバランスが崩れるので、理想的にはメインセールのみとしたい所です。ヒールは減らしたいですが、ジブのパワーがなくなると速度が無くなり舵が効かなくなるため方向転換ができなくなります。また、風上へ向きたがる癖が強く出て風下へ向けること(ベア)ができなくなります。


17.メインセールを開く
「1.ブーム角度の変更」でセットしたメインブームを更に外へ開きます。
メインセールへの風圧が下がりますが、高さは高いのでセールをカットする方法に比べて効果は少なくなります。ベアやランニングのバウチンは「15.メインセールのツイスト変更」と同様で効果が得られない可能性が高いです。あくまで緊急避難的な対応と考えてください。


(2016.01.22追記)

つづく


(2017.03.09説明追記)



注:本稿はレディーセットを購入した人を対象にしています。多分初めてヨットを手にする人が多いのではないでしょうか?そんな方が対象です。(勿論普通のシーウインドや、一部は他のヨットにも適用できると思います。また、更に微調整が必要な事もありますがまずは手始めにという事で。)とりあえずこれだけはという項目を優先順位をつけて説明します。

シーウインドオーナーさん、頑張ってくださいね!

意味が判らない、説明がおかしいなどがあったら是非ご指摘お願いします。彩湖ラジコンヨット掲示板でJ750宛てにお願いします。

写真出典:「RCヨットの奥深さが味わえる入門キット 京商 シーウインド」電波実験社 ラジコン技術 2008年5月号〜6月号 永井茂樹








参考


京商製

シーウインド
 〃  スペシャルエディション
(生産終了)
 〃  カーボンハルバージョン
 〃   レディセット KT21付
実艇デザイナー高井さんの設計だそうです(ただし模型では実績が無いみたいです(^^ゞ)。キットの出来はとても良いのでメカがセットになっているフルセット版を買えば初めての人でもプラモ並に素直に組み上がります。セール生地そのものは良いのですが、時々縫製の悪い物が有る様で、メインセールの前縁の部分的なシワが消しにくい場合等があります。ラフ(前縁)カーブの曲率急変や蛇行(←論外)で、あまりにひどい場合はセールのみ買い直した方が良いです。ダメなセールは上部を切って強風用に使いましょう。もっともグルーブ式というスケール感重視のセール固定のため、理想的な翼型は望めずある程度妥協も必要です。(笑)
市販艇では一番大きいクラスなので微風からかなりの風まで良く走ります。風や波にも強いですがラダーが小さめで過激なデザインのためかノーマルセッティングでは風速5.5m以上になると方向転換が難しくなってきます。最終的にはタックもジャイブ(正確にはベア)も出来なくなります。(ヤマハのラダーを付けるとピッタリで、方向転換も楽になるとの情報有り。ただし京商の大会などでは違反です!(笑))実艇では船の上で微妙な調整ができたり、強風時は小さなセールに変えるので問題ないのでしょうね。一方、ベテランの評価にもあるとおり、他の艇に比べると微風では横流れが目立つ傾向があります。(小面積キールの翼型がまた過激....)順風の範囲ではとても素直で扱いやすい艇です。最初のうちは必ず穏やかな風の時に走らせましょう。他の艇と比べてみても引き波や渦が少なく良い艇型だという事が判ります。強風、微風では典型的な癖(欠点)が出ますが、嫌みではなく教科書通りな特性です。良い悪いや限界が判りやすく、勉強させてくれるのですからヨットの特性や操縦を学ぶには良い素材と言えます。新艇の時は良いですが、保管中にハッチを外しておかないとスポンジがヘタって浸水するようになります。シリコン等の撥水剤を併用しても良いでしょう。これで取り説に”正しく詳しい”セッティングの項目があれば初心者用には最適なんですが....。(笑)

過去にスペシャルエディションと言ってFRP製のハルが発売されていました。ノーマルのABS製に比べると200gも軽いそうですが、そのままでは船体が浮き上がってしまうだけでメリットがないのだそうです。200g分バラストを増やせば良いのでしょうけれど、それだとルール違反です。(笑)おまけにこのハルは中国製のためかピンホールがあって浸水する物もあったそうでクレームが多かったそうです。塗装やパテ埋めがひつようですね。

06年末にカーボンハルのバージョンも出ました。これ見よがしなクロス目が良いですね。(笑)FRP同様、軽さはあまり生きないそうですが、エポキシ接着剤を使用しなければいけないキール受けの接着が省略出来るのは助かります。国内産ハルの出来は軽量で良いのですが、デッキとのつなぎ目にピンホールがある個体も。また接着がギリギリだったのか気がついたら口が開いていたりして。無駄な樹脂を使っていないとも言えますが、水面より上とはいえずっとヒール等を続けているとまずいですね。キット購入時や側面衝突時にはチェックしましょう。デッキ面はFRP製(グラス+ポリエステル)ですがこれも極薄なので内部補強するかマストステップをキールパイプ直前まで後退させないと変形して凹んでしまいます。

シーウインド(ABS版)のロットが変わったそうです。最近購入した方のお話ではハルが軽量化されているとの事。ブロー成型の技術的改善で薄肉部分が解消できたのでしょうか?結果的に全体の樹脂を減らせたのかもしれませんね。バラストも白く塗装済みで塩ビのカバーもなくなったそうです。キット購入の際には要確認です。
ちなみにデッキは陥没しやすくなったらしいです。(笑)軽いのですから許しましょう。カーボンバージョン同様の対策が必要ということですね。以前聞いた話では、デザイン段階ではキットの位置から10mm後方で設計されていたそうなので理想的にはバックさせるほうがいいですね。(そもそも微風用にマストを後傾させると、微風でブームが開かなくなるので本末転倒)
噂ではシーウインド用の強風用セールとディスプレー用のクルーのセットがオプションで発売予定との事。いいですねえ!
また、さる大御所のお話ではデザイナーの高井さんに何とかしろとプッシュしたそうで(笑)、カーボンマスト化も進んでいるのだそうです。本来のFクラスとしても通用する高性能艇になるかも!今まで足を引っ張っていたマストが改善されて、グレーシャスやイノベーターと対等に張り合えれば市販艇混走も面白いことになりますね。(081014追記)

暫く欠品が続きましたが、レディセット KT21付として再発売されました。塗装済み完成艇なので工作が苦手でも大丈夫ですね。定価50400円はかなりの金額ですが、 マルサン・ホビーなら35,280円みたいです。3万5千円でも安くはないですが、一度買えば10年は使えます(私の場合15年ほど使っていますがいまだに現役でマリンカップレベルなら優勝できます(笑))から、十分に元は取れると思います。2.4GHzプロポ付きなので走航会や大会参加でもバンド変更の手間が無くて便利です。写真を見るだけでははっきりしませんが、ちょっと残念なのはデッキ上の飾りパーツも取り付け済みであることでしょう。そのままではシートが引っ掛かってノーコンになる事間違いなし。(131101追記)




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ご注意
キット等にはバラツキも考えられるため、たまたまそうだったという事もあるかと思います。ロットによっても異なるでしょう。
このページを作るにあたっては、自分の経験以外にも、知人の艇や意見、過去十数年間の走航会・レース等での状況、その艇について造詣の深いベテランのご意見なども参考にしていますが、メーカーが改善を図っている場合もあり、本ページのアップデートも完全とは言い切れません。勿論個人的趣味も含まれます。それらの点をご理解の上でのご利用をお願いします。

参考にした本人所有の市販艇(但し過去形も含む)は以下の通りです。
標本数が少ないものもありますが、お許し下さい。

シークイーン:キット×1(頂き物)
シーウインド:キット×4(ABS×3(うち頂き物×1)、カーボン×1)、スペアパーツセール×3
フェアウインド:キット×1
シードルフィン:キット×1、スペアパーツセール×3
フォーチュン:キット×4(うち頂き物×2)、スペアパーツセール×3(うち頂き物×1)
フォーチュンU:キット×1
オラクルBMW:キット×1(頂き物)
シーブリーズ:キット×1
CR−914:キット×2、スペアパーツセール×7(うち頂き物×1)
CR−610:キット×2(うち頂き物×2)
CR−12:キット×1
グレーシャス:キット×3(うち頂き物×1)
イノベーター:キット×2(うち頂き物×1)
ヤマハ40EX:キット×1(頂き物)
ETNZ:キット×1
マイクロマジック:キット×1(頂き物)

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